令和元年に大流行した作品といえば『鬼滅の刃』を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。鬼滅の刃は、週刊少年ジャンプで2016年から連載されていた漫画です。その漫画を原作としたアニメが2019年に放送されると、日本全国で一躍大ブームに。子供から大人まで巻き込んで、まさに社会現象とされるほど人気作品になりました。その後アニメ映画が2020年に公開されると、公開から3日間で約350万人動員という驚異的な記録を樹立。そして公開から73日で、日本の歴代興行収入ランキングを19年ぶりに更新し1位を記録しました。2022年10月現在はアニメ第3期の放送を待たれており、今後も話題になりそうです。実は、鬼滅の刃が話題になったのは、内容や人気だけではありません。登場キャラクターの華やかな色合いのヘアカラーが注目されると、「炭治郎カラー」「禰豆子ヘア」といったように、キャラの真似をして髪をカラーリングする人も増えたのです。鬼滅の刃に限らず、アニメやアイドルなど、好きな有名人やキャラクターのテーマカラー・メンバーカラーを髪色に取り入れることは「推しカラー」と称され、トレンドになっています。今回の記事では、鬼滅カラーをはじめ、推しヘアカラーの取り入れ方、セルフカラーの方法についてご紹介します。そして鬼滅カラーと同時に注目された、鬼滅ネイルについても合わせてご紹介します。
推しカラー・鬼滅カラーとは
アニメや漫画、ゲーム、VTuberなどのキャラクターや、アイドル、タレントといった有名人などに「推し」がいる方は、「推しのテーマカラーやメンバーカラーを髪色に取り入れたい!」という人も少なくないようです。これは「推しカラー」、「推しヘアカラー」という形でトレンドになっています。例えば、ダークトーンの髪色に推しのテーマカラーを入れて、パッと見ではわかりにくいけど、実は推しカラーにしているという方や、しっかり全頭ブリーチをして、ビビッドカラーやペールトーンカラーで目立つ推しカラーを楽しむ方、インナーカラーやイヤリングカラーで推しの色を入れている方など、楽しみ方も多岐にわたります。
●鬼滅カラーとは
鬼滅カラーは、「鬼滅の刃」に出てくる登場キャラクターのヘアカラーを実際に再現することを言います。鬼滅の刃のキャラクターは、ビビッドなカラーを全面に取り入れたり、ダークトーンで毛先だけグラデーションになっていたりと、髪色が華やかで個性的です。
そもそもアニメや漫画のキャラクターは、昔から黒髪がベースの日本ではなかなか見かけない派手な髪色をしていることが多いですよね。現実にもそういった派手な髪色を好んでいる方は少なくありませんが、黒髪やダークトーンをよしとする風潮もあり、そこまで増えていませんでした。
では、なぜ鬼滅カラーは流行ったのでしょうか。考えられるのが、作品が爆発的に流行した年と、グラデーションやハイトーンヘアにする人が以前よりも増えているタイミングが重なっていたという点です。さらに人気キャラクターである竈門炭治郎や禰豆子、胡蝶しのぶなどのヘアカラーが、実際に再現しても違和感の出にくい、おしゃれなものが多かったことも関係しています。「派手ではあるが、取り入れやすくおしゃれも楽しめるヘアスタイル」として鬼滅カラーにする人も多かったのではないでしょうか。鬼滅カラーは、ヘアスタイルのトレンドと推しカラーを取り入れた中間的な文化なのかもしれません。
鬼滅カラーを取り入れたヘアスタイルをチェック
では、実際に鬼滅カラーを取り入れたヘアスタイルをチェックしてみましょう!
●胡蝶しのぶカラー
出典:www.instagram.com(@k_m_y_m_111)
人気が高いのは鬼殺隊の柱である、胡蝶しのぶカラー。蝶の髪飾りが特徴的な彼女の髪色は、全体は黒髪のようなダークトーンです。裾カラーとして紫がグラデーションで入っていますが、少し青みがかった紫を取り入れると再現度が高くなりますよ。ヘアスタイルは、前髪をセンターで分けて、姫毛部分を残した夜会巻きがデフォルトです。夜会巻きをしてから蝶の髪飾りをつければ完成です!
●竈門禰豆子カラー
出典:www.instagram.com(@gaty9366)
主人公、竈門炭治郎の妹である竈門禰豆子のカラーも人気です!腰まであるロングヘアは根本から胸下あたりまでは黒髪、胸下から腰あたりの毛先までは真紅ではなく、黄色みがかかった朱色が一番近いです。そしてカラーはグラデーションというよりはパツンと色が途切れています。ゆるやかにウェーブがかかったように巻けば、禰豆子ヘアになれますよ!
●嘴平伊之助カラー
出典:www.instagram.com(@hu_chu_mun)
炭治郎や我妻善逸と共に行動する、イノシシの頭を被っている嘴平伊之助は、イノシシの頭を取ると女の子のような顔立ちをしているキャラクターです。髪の長さは肩につかないくらいで、耳下から毛先までは少しグレイッシュな青がグラデーションのように入っています。全体は黒髪のようですが、ネイビー寄りの黒髪にすることで透明感が出てよりキャラクターに近くなるかも!
●竈門炭治郎カラー
出典:www.instagram.com(@selision12)
主人公の炭治郎は、鬼滅の刃に出てくるキャラクターの中では意外とシンプルな髪色です。赤みのあるブラウンで、トーンもそこまで明るくないです。髪の長さは耳が少し隠れる程度で、前髪を上げておでこを出し、顔周りの毛は外ハネになるようセットしましょう。
推しヘアカラーのような文化は昔からあった?
そもそも推しという文化がちょっと理解しにくい・・・という方もいるかもしれません。ですが、昔から「あのアーティストやモデルの髪型・髪色を真似したい!」と思い、美容室でオーダーする方は数多くいますよね。憧れの人の真似をしたいという心象と、推しの色を取り入れたいという気持ちは、実際には少し異なるケースもあるようです。ですが、ヘアスタイルやヘアカラーに要素を取り入れたいという意味では同じと言えます。
例えば1980年代は、松田聖子さんの髪型を真似する「聖子ちゃんカット」が大流行しています。外巻きと内巻きをミックスしたボリュームのあるヘアスタイルは多くの女性が真似しており、なんとくるくるドライヤーが一般的になったきっかけとも言われているようです。1990年代には安室奈美恵さんの代表的なヘアスタイルである、トーンの明るいブラウンでストレートのロングヘアや、それをばっさりとカットしたスタイリッシュなショートヘアが流行りました。また、1990年代は木村拓哉さんが、ドラマ内でロングヘアを松たか子さんにカットされるシーンがありました。当時の木村拓哉さんのロングヘアは非常にアイコニックなパーツで、そのスタイルが変わったことが大きな話題を呼びました。
2000年代は松浦亜弥さんのようなストレートのショートボブ、浜崎あゆみさんや倖田來未さんのようなハイトーンのロングでギャルテイスト、雑誌CanCamのモデルのようなロングでダークブラウン、毛先を軽く巻いたコンサバティブなスタイルなどがトレンドを席巻します。しかし、この頃からファッションやヘアスタイルが細分化していき、一つのスタイルだけが流行するというケースは2010年代にかけてだんだんと少なくなります。2000年代からインターネットやSNSが多くの人に普及し、トレンドを取り上げるメディアがテレビや雑誌だけではなくなったことも関係しているかもしれません。
近年は、アイドルやキャラクターはもちろん、俳優、アーティスト、YouTuber、VTuber「推し活」をしている人も多い時代です。ファッションやアクセサリーなどに取り入れるのはもちろん、「推しと同じ髪色にしたい」
鬼滅カラーはセルフでできる?
鬼滅カラーは、ベースが一般的な黒髪やブラウン系のヘアであっても、ポイントで赤や青を取り入れているものが多いです。日本人の髪は黒や茶色の色素がもともと入っているため、毛先に原色系のヘアカラー剤を使用しても、黒や茶色の色素が邪魔をしてしっかり発色しません。例えるならば、黒い画用紙に赤や青の絵の具で絵を描いても色がよく見えない状態です。原色系のカラーをしっかり発色させるには、ブリーチという薬剤で色素を抜く必要があります。
●セルフでブリーチをするのは難しいので注意!
セルフでブリーチをするのは、慣れている人でも難しいので気をつけてください。ブリーチは薬剤で髪の色素を抜きますが、髪は色素がなくなるとその分の隙間ができるので、空洞だらけでもろい状態になってしまいます。美容室では、プロの美容師が髪の状態をチェックし、薬剤の成分や塗布量、塗るスピードを工夫していたり、トリートメントでツヤや手触りを補っています。ブリーチによりもろくなった髪を補正しながら、その髪に合うカラー剤を塗布しているので、鬼滅カラーのような華やかな髪色も再現できるのです。
知識がない人が、自分の髪の状態を無視して市販のブリーチ剤を使ってしまうと、髪の毛がとても傷んでしまいますし、場合によっては切れ毛が大量にできたり、もともと弱っていた毛髪が溶けてしまうなんてこともありえます。ブリーチはそれほど知識と技術が必要であることは覚えておいたほうがいいかもしれません。
推しカラーのあとに黒染めはデメリット多め
好きなアイドルやアーティストのライブ、イベントに行くためにも、一時的に推しヘアカラーにしたい!という方も多いのではないでしょうか。また、夏休みや冬休みなど、長期休暇の間だけ普段とは違う髪色にしたい!という人は、年代や推しなどの文化を問わず数多くいます。派手髪は美容室でオーダーができますし、カラーワックスやカラーチョークを使えば、1日だけの派手髪や推しカラーをセルフで楽しめます。しかし、カラーワックスやカラーチョークは、発色やスタイリングに限界があったり、雨や汗で落ちてしまうというデメリットがあります。そういったデメリットなしで、数日間推しヘアカラーを楽しむのなら、美容室でブリーチしてからヘアカラーを入れる「ダブルカラー」をオーダーするのがおすすめです。
さらに一般的になっているのが、「黒染め」と言われる、日本人にとってベーシックな黒~ダークブラウンに染める技術です。ブリーチやダブルカラーをした派手な髪色から戻したいという方だけでなく、「面接や冠婚葬祭があるから、茶髪から黒髪に戻るように染めておきたい」という人も使ったことがあるのではないでしょうか。たしかに、黒染めをすることでナチュラルなダークトーンになりますし、黒染めに使う染料はブリーチヘアに使っても色落ちがしにくい傾向にあります。
しかし、ゆくゆくは髪色を明るくしたい(それがブラウンやベーシックなダークトーンだとしても)という方には、そもそも黒染めを使うこと自体がおすすめできません。それは黒染めに使われる染料の濃度が非常に高く、髪に残りやすいからです。黒染め後にいざ髪色を変えようとしても、カラー剤がキレイに入らない、ブリーチで黒染めの色素を抜ききれない、ムラになってしまったという人はたくさんいます。
黒染めをするのは、「少なくとも1年以上は黒染めした髪色から変えない」という方ならおすすめできますが、そうでない方は月に1度程度ダークアッシュやダークブラウンで染めて、地毛のような色を保ちながら髪が伸びるのを待ちましょう。
●髪色を元に戻すには伸びるまで待つしかない?
一度髪の毛を切って短くしたら、もう少し長くしたい!と思っても、自分の髪が伸びるまで待つしかないですよね。エクステをつけて人工的に長くすることはできますが、本来の髪の毛をすぐに長くすることはできません。それは髪色も同じで、一度変化させた色を、地毛の色に戻すことはできません。
髪の毛は毛根から新しい部分が作られており、すでに伸びて私達の目で見える部分は細胞分裂が終わっています。つまり、傷ができたら自然に治癒する皮膚のような仕組みはなく、切ったり染めたりしたら、その部分が細胞分裂をして地毛の状態に戻るようなことはないのです。ブリーチやダブルカラーをしたあとでも、ヘアカラーで地毛のような色合いに染めることはできます。ですが染めずに地毛の色に戻すことはできません。根本から伸びてくる髪が、十分な長さになるまで待って、ようやく地毛に戻ったと言えます。
先々のことまで考えてヘアカラーやブリーチをすれば、「黒に戻したいのにすぐ色が抜けてしまう」「黒染めのせいで違う髪色にできない」といった問題も回避できます。好みやライフスタイルは人それぞれ違うので、髪を染めるタイミングも人それぞれですが、「髪を染めたい!」と思ったら、上記を踏まえた上で美容師に相談してみてはいかがでしょうか。
1日だけ髪に色を入れるなら「ヘアチョーク」がおすすめ!
ヘアチョークはカラー剤のように髪を染めるものではなく、髪に色素を一時的にのせるものです。シャンプーなどですぐ落とすことができるので、休みの日だけ髪色を変えることができますよ♪黒髪や暗めの茶髪に色をのせても色がわかるように発色しますし、何よりブリーチやヘアカラーよりも傷みにくいのがうれしいポイントです。
●ヘアチョークの使い方
ヘアチョークは黒板で使うようなチョーク型やパレット型がありますが、使い方は基本的に同じです。
①汚れてもいい服やケープなどでカバーする
ヘアチョークは服につくとなかなか落ちません。つけるときは汚れてもいい服を着たり、ヘアカラー用のケープなどでカバーしましょう
②ヘアチョークをこするようにつける
ヘアチョークを髪の毛にあてて、こするように毛先に向かって動かします。
③ドライヤーで乾かす
色をつけたところをドライヤーで乾かします。髪が濡れている間は色がわかりにくいですが、乾かすことでだんだん色がハッキリしてきます。
このあとは髪を巻いたり、ワックスをつけたりなどお好みでヘアスタイリングをすれば完成です。1日だけ髪色を変えるアイテムは、ヘアチョークの他にカラーワックスや、スプレータイプもあります。どの商品も水による色落ちや、付け方に気をつければ、すぐにビビッドな髪色が楽しめますよ。
鬼滅カラーのネイルをしてみませんか?
セルフネイルでも鬼滅カラーにトライしてみませんか?キャラクターに使われている色を使ってネイルをすれば、密かに鬼滅ネイルにできますよ♪今回は炭治郎と禰豆子のカラーをご紹介します!
●炭治郎カラーは?
- 黒
- ミントグリーン
- ダークトーンの赤
炭治郎は黒とミントグリーンのような市松模様の羽織が特徴的。また髪の毛は少しトーンの暗い赤です。この3色を使えば炭治郎風ネイルができちゃいます。
●禰豆子カラーは?
出典:www.instagram.com(@mezzonail_sonako)
- ライトベージュ
- コーラルピンク
禰豆子は鬼になってから、先端がコーラルピンクのグラデーションで尖った爪に変わっています。これを再現しちゃいましょう!先端が尖った形は「ポイント」という形で、ある程度爪の長さが必要ですが、エメリーボード(爪やすり)を使ってゆっくり両サイドから削っていきましょう。その後、ライトベージュをベースにコーラルピンクで先端から爪の4分の1がグラデーションになるように塗っていきます。爪の形を丸い「ラウンド」にすれば、意外とナチュラルなデザインなので普段使いできますよ♪
推しカラー・鬼滅カラーを楽しもう
推しのカラーをファッションやヘアスタイル、メイクに取り入れるのは、「気分があがる!」という人が多いはず。ヘアカラーで取り入れるには、おしゃれ染めはもちろん、セルフで簡単に派手髪が楽しめるカラーチョークやカラーワックスがおすすめです。そして髪色だけでなくネイルにも取り入れるのがおすすめです。さり気なく取り入れてみたり、思いっきり華やかにしてみたり、自分に合う推しカラー生活を楽しみましょう♪