女性の冬の悩みの一つに、「かかとの荒れ」があります。ウェザーニュースが行った調査によると、ガサガサかかとに悩む人は6割以上に及ぶそうです。かかとの荒れがひどくなると、ひび割れが進行して亀裂ができ、痛みで歩くのに支障が出ることも。また角質の溜まった足ではせっかくのフットネイルもあまりキレイに見えなくなってしまいます。「以前は冬だけだったのに、最近は年中かかとが荒れるようになった」「保湿クリームを塗っても、すぐまたガサガサになる・・・」今回は、そんな方のために、なぜかかとが荒れやすいのか、その理由を徹底解明し、改善するためのかかとの角質除去のやり方、対処法を詳しくお伝えします。つるつるで、フットネイルも美しく映えるふっくらとした足を手に入れましょう!
かかとが荒れる理由
肌は、年齢と共にターンオーバーが遅くなり、古い角質が溜まって瑞々しさや柔らかさが失われていきます。さらに冬は寒さによる血行不良や乾燥が加わり、肌がゴワつき出すものですが、中でも荒れ方がひどいのが「かかと」です。ひび割れたかかとは、履いたストッキングもピリピリ破れてしまうことも・・・例えるなら「サボテン状態」になってしまうのです。なぜ、かかとがこれほど荒れやすいのかというと、かかとには、もともと角質を硬くしてしまう3つの特徴があるからです。
1. 角質層が厚い
全身の皮膚(角質層)の中で、最も厚いのが「かかと」の部分です。顔の角質層は0.02ミリなのに対し、かかとはその100倍の約2ミリもあります。人間は全体重を二つの足の裏で支えているわけですが、かかとは一番体重がかかる部分なので、厚い角質層が必要なのです。そして角質層が厚い分、かかとはターンオーバーにも時間がかかります。顔は通常28日周期なのに、かかとのターンオーバーは何と120日です。また、体重の圧によりかかとの毛細血管は切れやすく、栄養が届きにくくなってターンオーバーがさらに遅くなり、硬い角質層ができてしまうのです。
2. 物理的刺激が多い
皮膚は、圧力や衝撃、摩擦といった刺激を繰り返し受けると、表面の角質を厚く硬くして自らを守ろうとします。かかとは、体重の圧力や靴の摩擦などに常に晒されているため、この防衛作用が強く働き、角質が肥厚してしまうのです。
3. 皮脂腺がない
さらに足の裏は、汗腺は多いのに皮脂腺がないという特徴があります。汗はかいても、水分を保持するための皮脂が分泌されないため、かかとは常に乾燥状態となり、ゴワつくことになります。
このように、かかとは過酷な条件が揃っている部分なので、どうしても角質が厚く硬くなり、荒れやすくなってしまうのです。そして、かかと荒れにはさらにもう一つ、現代人ならではの意外な原因があります。
4. 浮き指
浮き指とは、足指が浮いてしまい、地面にほとんど接していない状態のこと。通常、立っている時の体重は、足先に30%、かかとに70%という割合で分担されています。しかし浮き指だと、重心の大半がかかとにかかることになり、ますますかかとの角質が厚くなってしまうのです。実際に、かかとが肥厚しやすい人は、「浮き指」になっていることが多いそうです。また、浮き指だと重心が後ろ寄りになることから、バランスを取ろうとして身体が前に傾き、猫背になったり、腰痛や肩こりを引き起こしたりすることにもなります。浮き指の原因は、靴を履く生活により足指の力が退化し、さらに歩く機会も少なくなったからといわれています。自分の足の指が浮いているとは、なかなか自覚できないものですが、実は女性の80%が浮き指になっているそうです。
かかとの角質を除去する方法
かかとの荒れも、カサカサ程度なら保湿系のクリームをこまめに塗るだけで、改善が期待できます。しかしひび割れまで生じたかかとは、肥厚した角質をいったん除去する必要があります。ここでは代表的なかかとの角質の除去に使えるフットケア商品を取り上げ、それぞれのメリットや注意点を見ていきましょう。
1.やすり、軽石
かかとケアでは一番ポピュラーな方法で、入浴やフットバスで角質がふやけたところで、フットケア用のやすりや軽石で削って落とすというもの。ただし、削り過ぎると傷ができて雑菌が入ったり、刺激によってかえって角質肥厚を助長したりすることがあります。ふやけた角質は脆くなっているので、力任せにこすらず、状態を確認しながら行うことが大切です。最後にお湯で洗い流したら、水気をしっかり拭き取り、クリームなどで保湿を行うことも忘れないようにしましょう。
2. スクラブ
角質があまり厚くない場合は、ジェルやクリームタイプのボディ用スクラブ剤も効果的です。塗ってマッサージするようにこすることで、細かいスクラブの粒子が穏やかに角質を落としてくれます。かかとが乾いた状態で使えるものもあり、入浴時だけでなく、どこでも手軽にケアできるメリットがあります。
3. ピーリングジェル
ピーリング成分を配合したジェルやクリームを塗り、こすって角質を落とすというもの。やすりやスクラブのように物理的に削って取るのではなく、ピーリング成分によって化学的に角質を軟化させ、剥がすという方法です。ピーリング成分はグリコール酸や乳酸などのフルーツ酸で、これら酸にはたんぱく質を変性・分解する作用があるのです。より安価にできる方法としては、お酢を使ったピーリングがあります。
やり方:洗面器にお酢とお湯を1:3(目安)の割合で入れ、30分~1時間ほど足を浸します。その後、フットブラシなどで軟化した角質を落とし、お湯で洗い流します。
お酢は殺菌作用もあるので、足の臭いを消したり、水虫を予防したりすることにも効果的です。
4. 足裏角質パック
こちらは塗るというより、薬液のピーリングジェルに足をどっぷり浸し、60~90分ほど時間を置いてから洗い流すというもの。足の角質がペロンと剥けるという、はっきり分かる効果が魅力です。しかし「剥ける」というくらいですから、人によっては皮膚に刺激が強過ぎる場合もあります。使用する場合は、事前にパッチテストをしたり、ピーリング成分の内容や濃度、足を浸す時間に十分気をつけたりすることが必要です。
●セルフケアできなくなったら、ネイルサロンやフットケアサロンへ
上記のケア方法はセルフでできる予防・対策です。そのため長年放置していた角質をケアするには不十分、もしくはうまくいかない可能性があります。セルフケアでもキレイにケアできないという方は、ネイルサロンやフットケアサロンで角質ケアメニューの施術を受けましょう。ネイルサロンやフットケアサロンなら専用の器具を使って、頑固な角質もしっかり取り除いてくれますよ。
滑らかなかかとを維持するフットケア法
肥厚した角質を強制的に取り除いても、放置すれば再び角質は溜まります。すべすべのかかとを維持するためには、日常のケアが大切です。
1. 乾燥させない
皮脂が分泌されないかかとは、何より乾燥させないことが肝心です。お風呂上りはもちろん、こまめな保湿ケアを心がけましょう。おすすめは、血行促進作用の「ビタミンE」や角質柔軟作用の「尿素」配合の保湿クリーム、人間の皮膚と相性抜群で浸透力に優れた「馬油」などです。塗った上からラップで覆ったり、靴下をはいて潤いを閉じ込めたりすると、より効果的です。便利なアイテムとして、水分を逃がさない素材でできたかかと用靴下もあります。
2. 冷やさない
足は身体の中でも最も冷えやすい部分です。冷えは血行を阻害し、角質を厚くする原因になります。靴下で冷えを防いだり、マッサージで血流を促進したりするなど、日常のケアを忘れないようにしましょう。
3. 足に合った靴を履く
サイズが小さ過ぎる靴は、かかとへの圧迫が大きくなります。また大き過ぎても、かかとが前後左右にずれて摩擦がひどくなってしまいます。正しい歩き方をし、かかとに負担をかけないために、靴が自分の足に合っていることは非常に重要です。足に合った靴は、以下のような点に重きを置いて探しましょう。
・かかと周りに小指が入るくらいのゆとりがある
・足先は5本の指先が動かせる高さと幅がある
・甲部分に圧迫感がない
・指の付け根と靴底の曲がる部分が一致している
また、クッション性のあるインソールを入れて、体重や歩行による衝撃を和らげるのも効果的です。
4. 浮き指の改善
自覚のないままに、かかとに大きな負担をかけているのが、上記の「浮き指」です。「足指の背側の関節部分に、タコができている」「足裏の指の付け根部分が、分厚く硬くなっている」といった方は、浮き指の可能性があります。浮き指だと、足指の代わりに「指の付け根部分」で歩いたり立ったりしているので、その部分の角質が厚くなるのです。次のトレーニングで足指の力をつけ、浮き指を改善しましょう。
・タオル寄せ運動
床に敷いたタオルの上に足を乗せ、足指でタオルをたぐり寄せます。立って行うか、できない場合は椅子に座った状態でもOKです。
・グーチョキパー運動
床に足を置き、グー(足指を内側に丸める)、チョキ(丸めた状態で親指だけを立てる)、パー(全部の足指を開いて床に着ける)を行い、これを20回繰り返します。
5. 足裏全体を使った歩き方
かかとに負担をかけ過ぎないためには、歩き方も重要です。まず、足指の腹が地面にしっかり着くように蹴り出します。足を下ろす時は、「かかと→土踏まずの外側→指の付け根」の順に、重心を移動するように意識します。意識することが難しければ、腕を後ろに大きく振って歩くようにすると、自然に上記のような重心移動ができるそうです。スムーズな重心移動によって足指を踏ん張って蹴り出すことができ、かかとの負担軽減に繋がります。
6. 皮膚科の治療
角質取りも日常のケアもしっかりやっているのに、状態が良くならない場合、水虫の可能性もあります。かかとのひび割れに白癬菌が入り込んで増殖し、角質を荒らして硬くしてしまうものですが、かかと水虫はほとんどが痒くならないので気づきにくいのです。心当たりがあれば、早めに皮膚科を受診しましょう。
まとめ
角質肥厚を起こしたかかとは、実は、見た目だけではない深刻な問題を引き起こしかねません。いわゆるパックリ割れなど重症になると、痛みから歩行にも支障が起きてしまうかもしれません。かかとの荒れは放置すればするほど症状がひどくなり、治りにくくなりがちです。ふっくらスベスベのかかとを取り戻すために、今のうちに本気のケアを始めましょう。