ネイリストとしての働き方には、大きく分けて「ネイルサロンに所属し働く」か、ネイルサロンのオーナーとして自分自身でサロンを開業して働く「個人事業主」という2つの働き方があります。
一昔前は、ネイリスト=サロン勤務を経てから独立開業をする人が多かった中、最近では、検定の取得後すぐに開業をする人も増えています。
筆者である私自身は、約5年のサロン勤務を経て、出産や引っ越しのタイミングと同時に自宅ネイルサロンを開業しました。
ネイルサロンを開業するには必要な準備は沢山ありますが、
今回は多くの人が気になるであろう、「ネイルサロンの開業資金」について、その内訳や目安等を解説していきます!
- ネイルサロンの開業資金について
- 開業資金は利用物件によって違う
- ・自宅をネイルサロンにする
- ・マンションの一室を借りてネイルサロンにする
- ・店舗・テナントを借りてネイルサロンにする
- 自宅型ネイルサロンにかかる開業資金
- ・家具代
- ・備品類:ネイル用品代など
- ・広告宣伝費
- マンションの一室を借りてネイルサロンにする開業資金
- ・マンションの初期費用
- ・賃貸費・水道光熱費
- ・内装工事代
- ・家具代・家電代
- ・備品類:ネイル用品代など
- ・宣伝広告費
- ・通信費
- 店舗型ネイルサロンにかかる開業資金
- ・賃貸費
- ・内装工事代
- ・家具代
- ・備品類:ネイル用品代など
- ・広告宣伝費
- その他にかかる費用
- ・人件費について
- まとめ
ネイルサロンの開業資金について
自分のネイルサロンを持つことに憧れはあるけど、開業資金がいくらくらいかかるのか費用面が気になる点ですよね。
開業と聞くとかなり高額になりそうなイメージですが、実際にはどのくらいなのでしょうか。
ネイルサロンの開業資金の相場について、解説していきます。
開業資金は利用物件によって違う
一言に開業資金といえども、ネイルサロンの開業には大きく分けて3パターン存在します。
- 自宅型ネイルサロン
- マンション型ネイルサロン
- 店舗型ネイルサロン
の3つです。
すべて「ネイルサロン」として開業することに変わりはないのですが、利用する物件によって開業資金は大きく変わってきます。
それぞれのネイルサロンごとに必要な開業資金の目安を詳しく解説していきます。
自宅をネイルサロンにする
自宅型ネイルサロンは、一般的に「自宅サロン」と呼ばれているものです。
自宅サロンは、その名の通り、住居を使用したネイルサロンです。
一般的に自宅型ネイルサロンの場合、必要な開業資金は、30万円~と言われています。
内訳については後ほど説明しますが、自宅サロンの場合、テナントを借りる初期費用が不要であるため、最初にかかる費用を抑えることが可能です。
しかし、既に住んでいる住居を使用するのか、開業にあわせて新たに物件を契約するのかで、初期投資は大きく変わってきます。
マンションの一室を借りてネイルサロンにする
自宅サロンではなく、マンションの一室を借りてネイルサロンを開業する方法もあります。
個人経営(ネイリスト一人)であれば、自宅サロンかこのマンションの一室でのサロンが多いです。
マンションの一室をネイルサロンにする場合の開業資金は、50万円~と言われています。
マンションを借りて開業する場合は、まず不動産会社に「商業用」として使用可能な物件かどうかを確認しましょう。
最近は、商用利用可能なマンションも増えていますが、商業用としてマンションを借りる場合、通常の居住用の賃借時よりも敷金と礼金がかさむことが多いです。
また、借りるマンションの状態によっては、ネイルサロンのコンセプトに合わせた壁紙などの内装リフォームが必要なこともあり、その場合の費用も必要です。
店舗・テナントを借りてネイルサロンにする
店舗型ネイルサロンは、テナントを借りて開業するネイルサロンです。
店舗型ネイルサロンの場合は、
- テナント契約料
- 道具代や広告宣伝費
が必須となり、必要な開業資金の目安は、200万円~と言われています。
特にこのテナント契約料が開業資金の大半を占めると思っておくといいでしょう。
自宅型ネイルサロンにかかる開業資金
では、実際に筆者も経営している、自宅型ネイルサロンの開業資金の内訳や目安を解説します。
家具代
ネイルサロンを開業するにあたって必ず必要なものは、
- ネイルデスク(~5万円)
- チェア2脚(~5万円)
- フットチェア(2万円~20万円)
- フット用小テーブル(~2万円)
です。
また、自分の理想とするサロン空間を演出するためには、
- パーテーションやカーテン等
- 観葉植物などの小物
- 照明具等
も必要となってきます。
自宅空間を使用する場合、あまり大きな家具は置けないことが多いため、そこまで立派なものを購入する必要もないですが、こちらも自分がどのような空間を作り上げたいか、なににこだわりを置くかで変わってきます。
備品類:ネイル用品代など
ネイル用品代の内訳と目安は、下記の通りです。
- ネイルマシン(~8万円)
- ネイル筆等(~2万円)
- ジェル等(メーカーによるため目安の算出不可)
- ネイルライト(~3万円)
- デスクライト(~1万円)
- 消耗品(~1.5万円)
一番重要なジェルやスカルプチュアの目安ですが、こちらはどのメーカーを選ぶかで大きく予算編成が変わってきます。
カラーのバリエーションは、サロンの売りになるため、自分の予算と希望に添ったメーカーで一通りの定番色、人気色を用意することをおすすめします。
広告宣伝費
広告宣伝費については、どの媒体を採用するかで大きく変わりますが、美容系集客サイトで最大手の場合、掲載のランクにもよりますが、年間契約で凡そ30万円~50万円程と言われています。
他にも、ホームページを使用する場合、HP作成や運営を委託する場合、毎月2万円~は必要になるケースが多いです。
ただし、広告宣伝費に関しては、Instagramなどの無料のSNSを駆使することで節約も可能◎
ですが、瞬発的に新規客を呼びたい場合は、ある程度有名な広告媒体に掲載をすることをおすすめします。
マンションの一室を借りてネイルサロンにする開業資金
都内などの都会に多い、マンションでのネイルサロンの開業資金とその内訳、目安は、以下の通りです。
マンションの初期費用
先述しましたが、マンションを契約する際には、敷金・礼金・不動産会社に支払う仲介手数料などその他初期費用が発生します。
商用利用する場合、敷金礼金が通常時よりも大きくなる場合があるため、初期費用でも50万円〜はかかると思っておくといいでしょう。
賃貸費・水道光熱費
マンションを借りた場合、当たり前ですが、毎月その家賃とマンションが定める設備管理費が「賃貸費」としてかかってきます。
借りるマンションが築浅か、また位置している立地(交通の便)で大きく変わり、加えてお客様用の駐車場を契約する際は、その駐車場代も必要です。
駐車場を契約する際にも敷金が発生することもあります。
ネイルサロンとして物件を借りた場合、リピーター様がつき、サロンの収益が軌道に乗るまでの間、どうしてもこの賃貸費が運転資金として必要になってきます。
また、この賃貸費に合わせて、水道・ガス・電気代などの水道光熱費も毎月のランニングコストとして乗っかります。
ネイルサロンを開くにあたって、おしゃれさ、立地が便利など条件が少しでもいい物件を選びたいところですが、見込み収益とのバランスを考えて、物件を契約しましょう。
内装工事代
契約したマンションの状態によっては、ネイルサロンのコンセプトに合わせて、壁紙などの内装リフォームが必要になることも。
その場合は、リフォーム会社に内装工事を依頼しなければいけないため、どうしても費用がかさんでしまいます。
リフォームにかかる費用の相場は、5万円~10万円ですが、大掛かりなリフォームの場合は、それ以上の資金が必要となります。
家具代・家電代
自宅サロンと同様、配置する家具代などの設備投資も必要となってきます。
- 照明器具(~5万円)
- エアコン(~20万円)
- カーテン(~5万円)
- テレビまたはタブレット(~10万円)
- ネイルデスク(~5万円)
- チェア2脚(~5万円)
- フットチェア(2万円~20万円)
- フット用小テーブル(~2万円)
マンションを借りる場合は、照明器具・エアコン・カーテンの準備も必要です。
上記以外にも、サロンのインテリアとして観葉植物などがあってもいいでしょう。
備品類:ネイル用品代など
こちらも自宅サロン同様に以下の通りです。
- ネイルマシン(~8万円)
- ネイル筆等(~2万円)
- ジェル等(メーカーによるため目安の算出不可)
- ネイルライト(~3万円)
- デスクライト(~1万円)
- 消耗品(~1.5万円)
使用するジェルのメーカーは、サロン周辺のライバル店の傾向を把握したり、他店舗との差別化を図るものを選んだり、またはお客様のニーズに合わせて仕入れましょう。
最初の初期投資のコストは大きくなりますが、やはりサロンとして構えるには、ある程度ネイルカラーやネイルデザイン、アートなどが充実してる方が望ましいです。
宣伝広告費
宣伝広告費に関しても、自宅サロン同様、どの媒体を使用するかで必要資金は変わってきます。
ただし、自宅サロンとは異なり、ネイルサロンのためにマンションの一室を契約する場合は、その分の家賃がランニングコストとして必要になります。
そのため、ある程度固定のお客様がつくまでは、集客に瞬発力のあるホットペッパービューティーなど大手の広告媒体を契約するのがおすすめです。(目安年間30万円~)
通信費
新たにマンションを契約する際、サロン内にインターネット環境を整備する場合には、その分の通信費が必要です。サロンの固定電話を設置する場合も同様です。
インターネット・固定電話の接続工事の相場は、各通信会社によって異なりますが、~5万円ほどを見ておけばいいでしょう。
現在、自分の携帯電話をサロンの代表電話としても使用している筆者の見解からすると、せっかく仕事とプライベートの空間を分けてマンションを契約するのであれば、仕事(サロン)用の固定電話を契約しておくことがお勧めです。
また、インターネット環境が整っていると、雑談が苦手なお客様には、施術中テレビで動画配信サービスなどで好きな作品を見て頂けるため、便利です。
店舗型ネイルサロンにかかる開業資金
続いて、店舗型ネイルサロンの開業資金とその内訳と目安をお伝えします。
賃貸費
店舗型ネイルサロンの場合、自宅型と大きく異なるのが、この「賃貸費」いわゆるテナント料というものがかかってくる点です。
賃貸費は、立地や広さ、築浅かどうかなどで大きく変動します。最近では、商用利用可能なマンションを使用したネイルサロンも増えており、その場合、路面店などよりも大きく賃料を抑えることができます。
こちらについても、立地等様々な条件から金額が大きく変動するため、目安の算出は難しいですが、資金計画や売上目標と照らし合わせて、しっかりと検討していきましょう。
内装工事代
店舗としてテナント契約をしたあとは、理想のサロン空間を演出するための内装工事が必要になってくるケースがほとんどです。
内装工事を入れるとなると、安くても30万円~と言われており、サロンの規模感などによっては数百万程の大きな金額に。
以前も何かしらのサロンとして使用されていた、などの居抜き物件を選ぶことで資金が抑えられるケースもあるでしょう。
家具代
家具代に関しては、自宅型と同様に
- ネイルデスク(~5万円)
- チェア2脚(~5万円)
- フットチェア(2万円~20万円)
- フット用小テーブル(~2万円)
に続き、
- パーテーションやカーテン等
- 観葉植物などの小物
- 照明具等
が必要となってきます。
しかし、店舗型の場合、ネイリストを増員するのであれば、その分の席数が必要となります。
また、待合用のチェアなどもあるといいでしょう。
備品類:ネイル用品代など
ネイル用品代などの備品についても、自宅型と変わりなく、
- ネイルマシン(~8万円)
- ネイル筆等(~2万円)
- ジェル等(メーカーによるため目安の算出不可)
- ネイルライト(~3万円)
- デスクライト(~1万円)
- 消耗品(~1.5万円)
が必要となりますが、こちらもネイリストの人数分用意が必要です。
広告宣伝費
広告宣伝費についても、自宅型同様どの程度の集客が必要なのか、で大きく変動しますが、店舗型の場合、ランニングコストや初期投資分の回収を考えると、集客とその瞬発力は必要です。
そのため、店舗型ネイルサロンを開業する多くのネイリストは、
- ホームページ作成
- 大手広告媒体
- チラシ
- 無料のSNSツール
の全てを駆使していることが多いです。
そのため、開業時には、少なくとも30万~100万円ほどの広告費を覚悟しておくといいでしょう。
中には、瞬発力を求めて、ある程度顧客が増えるまで大手広告媒体に初期投資をかけて、とにかく瞬発的に新規集客を獲得する、といったネイルサロンもあります。
その他にかかる費用
主にネイルサロン内で使用する家具や家電の設備投資、物件賃借時の契約金等の初期投資、内外装のリフォーム代などについて解説してきましたが、これら以外にも費用がかかる場合もあります。
人件費について
上記以外の費用でネイルサロンを経営するにあたって、大きなランニングコストとして挙げられるのが、人を雇った際の「人件費」です。
初めは一人でネイルサロンを始めたとしても、徐々にお客様が増えたり、サロン自体を拡大していきたい場合、新たにネイリストを雇うことも可能です。
ただし、その場合、当然そのネイリストに支払うお給料が必要となります。
一般的にネイリストの給料形態で多いのは、
- 固定給
- パートタイマー
- 歩合給
です。
固定給やパートタイマーは、月や時間によって定められる給料が決まっており、入客の有無に左右されません。歩合給は、1件の施術につき何%と決まった金額をネイリストにお支払いしますという給料形態です。多いのは、40〜60%バックでしょう。
人を雇う際は、
- 集客がどの程度増える見込みか
- 人件費によって赤字にならないか
など利益率をよく計算し、必ず事業計画書を建てることが必要です。
また、人を雇う際には、求人をかけなければいけません。その場合、求人広告を掲載している媒体に依頼し、先行投資として求人広告費が必要となります。
まとめ
今回は、ネイルサロンの開業資金について利用物件ごとに解説をいたしました。
開業資金の内訳や目安は、上記で説明してきた通りですが、筆者が自宅ネイルサロンを開業した際は、実質5万円もかかっていないです。
というのも、筆者の場合、長くネイルサロンで勤務していたことからネイル道具はある程度持っていたことが大きいです。
また、自宅にサロンスペースを作る余裕がなく、リビングを使用しているため、大きな家具などは購入しなかったからです。
これがもし、ゼロからネイルサロンを開業する場合には、やはり家具家電(エアコンやテレビ、タブレットなど)の設備投資が必要となる上、上記で解説した物件契約費やリフォーム代等が発生するため、費用はかさみます。
最近では、個人経営であれば、まずはリスクの少ない「自宅型ネイルサロン」または「マンション型ネイルサロン」が選ばれる傾向にあります。
子供がいても家庭と両立しやすいように自宅をネイルサロンにする人も多いですが、プライベートと仕事の空間を完全に分けたい人はマンション型ネイルサロン、お客様のリピート率が上がり軌道に乗ってきたら、店舗・テナント型ネイルサロンなどに展開するのがお勧めです。
開業する形によって必要な資金は変わってきます。
融資や補助金が必要な場合もあるかもしれません。
まずは自分が目指すネイルサロンのコンセプトやビジョンを明確にし、事業計画を立てて、よく考えるのが大切です。
他にも自宅ネイルサロンの開業について知りたい方は、こちらの記事で紹介しています♪
https://www.nailjoshi.com/94941/
https://www.nailjoshi.com/94366/