・ネイリストになりたい!
・スキマ時間でビジネスしたい!
・国家資格じゃないから、仕事にしやすい!
などなど。
今の時代はネイリストになりたい人が増え、そのほとんどが独立して開業を目指している時代。
しかし、蓋を開けてみたら実態は?
何がいけなかったの?
ネイリストって誰でもなれるんじゃなかったの?
こんなはずじゃなかった・・・と落ち込む前に読んでほしい。
この記事では「ネイルサロンの独立開業は失敗する」といわれる理由を、25年以上のキャリアを持つ現役オーナーネイリストが解説します。
未来に輝くネイリストの夢を持つ人たちへ愛情を込めて厳しく解説するので、開業を目指している方は是非読んでみてくださいね。
ネイルサロンの開業は失敗しやすい?理由は?
ネイリストになりたい!と思う人のほどんどが、「ネイルするのが好き!」「キラキラ可愛いネイルが好き」という人が多いのではないでしょうか?
始まりのきっかけはとっても大事。
だけど、1歩足を踏み入れると、実は大変なことも多かったりするものです。
せっかくの「好きな仕事」をどうしたらビジネスに繋げられるのでしょうか?
ここでは、ネイルサロンの開業が失敗しやすいといわれる理由を解説します。
1.表面だけしか考えていない
あるあるその1です。
アート重視のサロンになっていませんか?
もちろん、アートの技術は必要です。
しかし、アートを求めるお客様ばかりではないという事実を受け止めてくださいね。
そもそも、ネイルサロンなので、まずは「爪」です。
爪が整っていないからこそ、爪を整えたいと考えるお客様も沢山いらっしゃいます。
アートのみをメインにしたいのであれば、店舗も場所を選ぶ必要がありますが、その前に、爪がもしボロボロになってしまったら?その上、意地でもアートを提供しますか?
反対にアナタがお客様の立場だったら?
ボロボロの爪になってもアートのために時間とお金をかけるでしょうか?
表面しか考えないで施術をしていると、ある時お客様は爪のダメージに気が付いてサロンから離れてしまうでしょう。
2.基礎を飛ばしている
ネイリストを目指すときに、ネイリスト検定を受験する人も多いでしょう。
サロンワークをデビューした人は、「あれ?試験で学んだことをやらなくていいのかな?」と考えてしまう人も多いようですね。
試験は、基礎の基礎。サロンは応用。そこを間違えてはいけません。
例えばファイリング。エメリーボードを使って爪の形を整えるメニューです。
このファイリングだけでも利益も出ますし、リピーターにも繋がります。
ファイリングの技術、基礎がしっかり身についていますか?
どのグリットを使ってファイリングをするのか?
お客様の爪の厚み、硬さによっても変わりますが、そこを考えられていますか?
ファイリングのかけ方、形で、お客様の爪が整っていきます。
ファイリングだけではありません。
ウォーターケア、ネイルポリッシュの塗り方等、基礎を固めてからサロンデビューで応用を学んでいくことが大事ですよ。
3.金額設定が間違っている
ネイルサロンを立ち上げるからには、自分のやりたいようなサロンを目指すのは当然のこと。
でも、独りよがりになっていませんか?
趣味でネイルサロンをするのであればご自由にどうぞ。
でも、ビジネスにしたいのであれば、来店されるお客様を考えなくてはいけません。
お客様重視といっても、全てをお客様の言うようにするのではありません。
お客様が来店してくださり、お代を払っていただくことでビジネスが成り立ちます。
メニューに必要な時間、そして価格は合っていますか?
そして、サロンの場所は、そのすべてに適応していますか?
例えば、オープン開始!アートやり放題。近隣のサロンより価格を下げて集客しよう!というAさん。
そして、サロン3年目。アートやり放題。友達も値上げしてるから私のサロンも値上げしよう!というBさん。
Aさんは、2時間で6,000円に、Bさんは、2時間で6,000円から10,000円に。
これは金額設定の大きな間違いです。
自分の考えのみで金額設定してしまうと、遅かれ早かれビジネスに問題が起こるでしょう。
Aさんは、最初から6,000円を設定してオープン。
うーん。。。そもそも2時間で6,000円っていう金額は利益を出す為にはかなり安い設定ですね。
スタッフが3、4人いて、毎日予約でいっぱいであればこれでも利益は出るでしょう。
しかし、一人でサロンを始めるのに2時間で6,000円というのは後で辛くなるのでは?
2時間施術のみだったら、なおさらです。
お客様の入店時のご案内、お見送り、その他経費なども入れると、もしかしたら時給1,000円を切るかもしれないですね。
Bさんの場合は、3年目だし、周りの友達も値上げしているし。
という理由で10,000円にしたけれど。
10,000円に変えたら今までのリピーターの顧客は3分の1になる可能性があることを忘れずに。
お客様が2時間で12,000円だったとしても、納得のいく仕上がり、内容であれば12,000円を安く感じると思います。
もちろん、土地によっても価格は変わります。集客したいお客様はどういう方ですか?
アナタの設定したものは、自分が逆にお客様になったときに、リピートしていきたいですか?
自宅ネイルサロンの開業はどうなの?
スクールを卒業したら、すぐに開業!という方も最近は増えていていますね。
自宅サロンをオススメするネイルスクールも多いです。
自宅サロンの閉業率が高くなってるのには理由があります。
自宅で開業というキャッチフレーズ、安易に乗ると失敗しますよ。
1.プライベートと仕事を分けられなくなる
住居と職場が同じ場所というのは、今の時代は増えていますね。
リモートワークという形を推奨している企業もあります。
ネイルサロンの場合は、パソコンを通して接客するわけではありません。
実際にお客様が来店されて、施術を受けます。
隙間時間でビジネスが出来る!と思ってネイリストになる人も増えていますが実際はそんなに簡単なものじゃないです。
隙間時間でいくら利益を出したいですか?
売上は、純利益ではありません。
経費など差し引いたものが純利益。
お客様と自分の時間、家族も同居であれば家族との時間をしっかり分けるために営業時間を明確に。
ネイルサロンは、日本では国家資格ではない為、サロンを開業する際に保健所のチェックはいりませんが、あまりにも住居と混合してしまう状況は注意が必要です。
2.自宅サロンの環境
はっきり言います。
趣味レベルの人は倒産します。
趣味レベルとはどういうことか?
純利益が通常のサラリーに満たしていない人です。
1か月、いくらで生活したいか?という事です。
そして、住居用としての集合住宅でのサロン営業は厳禁です。
住所非公開というは、正直私がお客様だったらとても怖いですね。
ネイルが好きでネイリストになったのであれば、自分の職業に誇りをもってビジネスしていただきたいです。
自宅サロンとしての理想の環境は以下のとおりです。
- 住人が使う玄関とお客様が使う玄関を分けてあること
- お客様用の化粧室が用意されていること
- 美容室と同じにまではいかなくても、空気の循環、換気が出来ること
最近ではシェアサロンも増えているので自宅サロンを考えているけど、住居と職場の境目が作れないと思う人はシェアサロンで行うことをおすすめしますよ。
商業利用物件で、胸を張ってネイルサロンしましょうね。
ちなみに、以前にニュースになっていたこともありますが、換気のない部屋でネイルをしていて小さいお子様が体調崩したということも。
ネイルを仕事にしている人なら当たり前のことですが、ネイル商材は揮発性のものが多く、火気厳禁の物も多いです。
ネイル商材で、気化した物のほとんどは空気より重いので、換気のない場所で大事なペットや小さなお子様を同じ部屋にずっといさせるのはとても危険ですよ。
もちろん、換気が万全でも大事な家族の体調も考慮する必要がありますから、十分注意しましょう。
3.サロン勤務経験がない
サロン勤務経験がなくても、開業は可能です。
しかし、いきなり自宅サロンオープンは、倒産するケースも多いです。
サロン勤務経験は最低3年は必要だと思います。
ネイリストになりたい人の多くは、ネイルサロンにお客様としていったことがない人も多いようです。
(これにはちょっとびっくりしてます。)
私がセミナー講師をしているときに質問すると、ネイリストになる前に、ネイルサロンに通っていたことがない。という人が多いのです。
ちょっとまって・・・。ネイルサロンに行ったことがなくて、ネットだけの情報で自宅サロンなんて危なすぎますよ。
さらに、ネイルサロン勤務もないとなると、様々なセミナーに通うことになり、いろんな講師と出会います。
いったい何が一番いいのかわからなくなってしまうという生徒さんも多くいらっしゃいます。
経験値って大事なの。
いろんなお客様が来店して、いろんな悩みを相談されて、先輩ネイリストがアドバイスして施術を行う。
それを見ながら、スクールで学んだ基礎の技術をサロン用の応用技術に変えていく。
もちろん、楽なことばかりではありませんが、沢山の経験と学びがアナタをネイリストとして輝かせてくれる大事な時間です。
そう、言ってみればアナタはネイリストのダイヤモンド。
最初は原石ね。それを経験の中で努力して学んで、光り輝くダイヤモンドになるの。
だからこそ、最初に勤務するサロン選びは重要です。
どんなサロンにお客様としていきたいのかも含めて、ネイルサロンに行ってみると良いですよ。
自分がお客様になって、まず働きたいサロンを歩いて探して見つけ出す。
そこから、面接を受けて、合格できるようにレベルを上げていく。
就職して、沢山の物を学んで。
そこから開業している人は、お客様からも一目置かれるサロンになるはずです。
ネイルサロン開業における成功のカギとは?
目標は明確に。
せっかく身に着けた手に職のお仕事。
棒に振るのも、活かすのも結局自分次第。
言い訳なんて言ったら後で後悔しますよ。
ここでは、ネイルサロン開業を成功へと導く「カギ」を解説します。
アナタの奥底に眠っているネイリストとしての目標を一度書き出してみて。
1.自分の月給、いくらほしい?
技術も大事なんですけど、生きていくためにはお金が大事。
さてさて、アナタはお給料いくらほしい?
いくらで生活していきたい?
月に30万ほしいときは、90万を目標に売り上げる。
給料の3倍って、昔の話でしょ?と思うかもしれないけど、これって当たり前の話なんです。
30万の月給のネイリストになる!という感じでお金から技術レベルを上げていくことも大事です。
30万もらうためには、90万の売上。
この売上を出勤日数、大体21日くらいでしょうか。
そして、1日7時間働いた場合。
これで計算してみます。
900,000÷21=42,857 これが1日の売り上げ目標
42,857÷7=6,122 これが1時間の売上
1時間で6177円のメニューを作れたら完璧ですね。
フルで予約が埋まることが大前提。
2.料金に見合う技術を目指しながら進めよう
目標となるところが決まったら、それに見合う技術が必要です。
スピード、テクニック全てを磨いていかなくちゃいけません。
もし、「まだ自信はないけど自分でサロンを頑張るぞ!」というケースなら。
1時間6122円のメニューを作り、最初の半年だけお値引きをして通常料金でも来ていただけるように宣伝しながら始めてみると良いと思います。
よくある間違いの一つですが、
あそこのサロンは、この金額だから私も。
とか
みんなも値上げしてるし、安すぎても儲からないから。
など・・
最初から自分の利益しか見ていない人。
これは一番失敗に陥りやすい人の行動です。
他人はあくまでも他人。
ご自身の技術の向上を目指し、お客様にしっかり向き合うことが成功の秘訣ですよ。
3.私はこれが得意だから!
得意なものだけでサロンのメニュー構成していくのは、時代的にはすでに遅いかもしれません。
お客様は、皆さんよりも多くの情報を取り入れています。
そして、いろんな情報をいろんな解釈で理解します。
不得意のメニューがある人は、しっかりと全てのメニューをこなせるようにしておくと良いですよ。
ネイルサロンはネイルのプロがやっていると思って、お客様は来店します。
得意じゃないからやらないというのは、とても残念ですね。
ジェル専門店として個人サロンを立ち上げている人のほうが、閉店してしまう率が高いかな。と感じます。
もっと視野を広くして、どんなお悩みのお客様でも応えられるネイリストになりましょうね。
ネイルサロンの実態:サロンはどんどん生まれて、どんどん消えている
よくある1年以内に廃業は◯%、5年以内は▲%というデータがありますが、実際問題として、ネイル業界に関しては実態を数字化するのは難しいです。
なぜなら美容院とは違って、保健所などを通す必要がなく、どんな方でも、「今日からネイルサロンします」とすぐにオープン出来るから。
店舗を借りても、自宅でも、シェアサロンでも、どんどんサロンはオープンしてます。
そして、あー、なんか予約はいらないからもういいや。とやめてしまう人も多いのだそうです。
これは、某媒体の営業さんの実話から。
営業でお電話しても、HPがあるのに、営業はもうしていないサロンも多いんだそうです。
趣味レベルでもサロンと言えばサロンになる・・・。
アナタがどのレベルのネイリストになりたいのか?
お客様は、お金と時間、そして大事な指先を預けるので、プロネイリストを探していますよ。
まとめ
厳しいことばかり書いてしまったけれど。
はっきり言います。
自分が通いたいネイルサロンのネイリストになりましょう!
これが一番。
お金の価値はお客様が決めますから。
「このレベルじゃ高いから、もう行かない。」と思われるようなネイルサロンになりたくないでしょう?
お客様の情報源は、私たちよりも豊富だったりします。
狭い視野で、ネイルの流行りを追いかけるより、広い視野を持って、基礎から常にレベルを上げる努力が必要です。
私は25年ですが、今も現役バリバリですよ。
セミナーもしていますが、そのために勉強もしっかりしています。
お客様のせいにしない。
ネイル商材のせいにしない。
もし、出来ないときはその理由を自分の技術面から考えましょう。
小さな1歩の積み重ねが大事なのです。
素敵なネイリストさんが増えますように。