洗濯物に柔軟剤を使っている人は多いのではないでしょうか。柔軟剤は適量ならいい香りですが、大量に投入してしまうと洋服に結構きついにおいが付いてしまいます。自分はいい香りと思っていても人によってはその柔軟剤の香りが耐えられないほどきついにおいになってしまっていることもゼロではありません。柔軟剤の香りは合成香料(化学物質)でできており、強すぎるにおいで体調不良を起こしてしまう人もおり、公害をもじって「香害」と呼ばれています。今回の記事では、柔軟剤の香りが強いために迷惑になってしまうことがある……ということについてお話をしてまいります。柔軟剤の正しい使い方についても説明しているので今一度ご自身の使い方を見直してみてくださいね。また、香害に似たにおいの問題「スメルハラスメント」についてもお話をしています。スメルハラスメントは通称スメハラと呼ばれ、体臭、口臭、香水などのにおいによって周囲の人を不快にさせてしまうことです。本人に悪気がないことや全く気づいていないことが多く、セクハラやパワハラといった他のハラスメントとは少し違っている部分もあります。そのため対策や本人への注意がしにくいといった難しい点があります。身近な香りの問題について考えていきましょう。
香害とは
香害とは、柔軟剤や香水、合成洗剤などの人工的な香料(化学物質)によって、様々な健康被害が発することをいいます。合成香料は化学物質なので体内に蓄積すると化学物質過敏症を引き起こすこともあります。この化学物質過敏症はアレルギーのように突然発症し、少量の化学物質でも体調不良を起こすことがあるのです。特に柔軟剤の香りに関する相談が増えており、近年は社会問題として取り上げられることも増えています。香害に似た問題に「スメハラ(スメルハラスメント)というものもあります。スメハラとの違いは以下の通りです。
●スメルハラスメント(スメハラ)との違い
スメハラとは体臭や口臭、加齢臭、香水、柔軟剤、タバコなどのにおいで周囲を不快にさせてしまうハラスメントのことです。香害との違いは、香害が合成香料のにおいによって頭痛や吐き気などの身体症状がみられるのに対して、スメハラは主に体臭や口臭などのにおいによって不快感という精神的なストレスを与えてしまうことにあります。ハラスメントは迷惑行為ということですが、スメハラの場合は本人に悪意や当事者意識がない場合が多いため、セクハラやパワハラといった他のハラスメントとは少し違うものとも考えられます。スメハラの影響は、仕事のパフォーマンスに影響が出たり、人によってはコミュニケーションを避けたりすることがあるので難しい問題です。対処をする必要がありますが、体臭や口臭のことは非常にプライベートなことでデリケートな問題であるため、注意の仕方に十分気をつけないと、傷つけてしまったりモラハラになってしまったりする場合があります。注意をする場合は同性からする、上司からする、人事部からするなどの方法が考えられます。もしくは全社員向けに研修を行ってにおいに意識を向けさせるといったやり方も可能でしょう。特に研修会を行うことは、自分のにおいへの意識を向上させ、ハラスメントになる可能性があるということを知ってもらうよい機会になるでしょう。
柔軟剤の香りが香害になるの?
香害のにおいの対象は柔軟剤の香りだけではありませんが、柔軟剤による香害が最も多いと言われています。そもそも柔軟剤の役割は、衣類をふんわり柔らかくすることと、静電気の防止です。しかし、においの強い海外製柔軟剤の流行をきっかけに日本国内でも香りがしっかりと付く柔軟剤が登場し始めたのです。このような背景があり、においの強い柔軟剤を使用する人が増えた結果発生したのが香害です。香害は近隣住人や職場での人間関係で軋轢を生むことがあります。例えば集合住宅で外干ししている方の柔軟剤の香りが強かった場合、同じ集合住宅に住む化学物質過敏症の人にとっては体調不良にさせる「悪」となりうるのです。また職場であれば体調不良を引き起こす香害にまではならないまでも、スメハラに発展してしまうことはありえます。香害は香りの良し悪しではなく、香料の化学物質にアレルギーのように反応して起きるものなので、自分の使っている柔軟剤のせいで誰かが体調不良になっているとしたら申し訳ない気持ちになってしまいますよね。また、自分自身の柔軟剤によって化学物質過敏症を引き起こして香害にあってしまう可能性もゼロではありません。香害という問題があることを知っているだけで柔軟剤の選び方や使い方を意識して誰にとっても良いものにしていけるのではないでしょうか。
●流行りの洗濯用ビーズって何?
香り付け特化のものと、消臭特化のものがあります。いずれも使い方は同じで、洗濯する時に規定量を洗濯槽に入れるだけで、洗濯洗剤・柔軟剤と併用することができます。香り付け特化の洗濯用ビーズは衣類に香りを付けることができ、さらに長時間香らせることができるメリットがありますが、香害の面から考えると香りが強くなるという心配があると言えます。また、注意が必要なのは柔軟剤のように衣類をふんわりさせたり静電気を予防したりする効果はないことです。あくまでも香り付けか消臭のための入れるものなのでふんわりさせたり静電気を予防したりしたい場合には柔軟剤を使用しましょう。
柔軟剤の正しい使い方
正しい柔軟剤の使い方を知っていますか?柔軟剤を洗濯物と一緒に洗濯槽の中に注いでしまっている方もいるかもしれません。実はこの使い方は誤っています。正しい柔軟剤の使い方は洗濯物を洗濯槽の中に入れて、洗剤を洗剤投入口(もしくは洗濯槽)に入れた後に、柔軟剤投入口に柔軟剤を入れるとなります。こうすることで柔軟剤は洗濯工程の最後のすすぎのタイミングで洗濯槽に投入されますよ!ちなみに洗剤も柔軟剤もしっかり計量して、洗濯物の量に見合った使用量を投入してくださいね。
●柔軟剤で香害にならないためのポイント
柔軟剤で香害にならないようにする対策方法は無添加や無香料の柔軟剤を使用することです。しかし無添加の洗剤では汚れがきちんと落ちるのかという不安や疑問がある方もいらっしゃると思います。そんな場合におすすめなのがセスキ炭酸ソーダや重曹などの使用です。汗などのにおいには重曹、皮脂汚れにはセスキ炭酸ソーダもしくは重曹、色残りに気になるときには過炭酸ソーダをプラスすることが有効ですよ!このような工夫をすることで香害を対策することができます。また、自分自身が化学物質過敏症になってしまう予防にも繋がります。ちなみに、集合住宅にお住まいで近隣住民の柔軟剤の香りで体調不良を引き起こすことがあるという場合は管理会社に問い合わせて相談するのがおすすめです。というのも、各家庭に直接伺って注意喚起を行うと近隣トラブルにつながる可能性もあるためです。香りの強い柔軟剤を使っている家を特定することも難しいので当たりをつけて柔軟剤について注意をしたけれど香りの強い柔軟剤を使っている家庭ではなかったということにもなりかねません。このようなことにならないよう、注意をする場合には管理会社や町会などを通すのがおすすめですよ。
セルフネイルの臭い対策
セルフネイルをしている時、におい対策をできていますか?マニキュアやリムーバーの独特なツンとする刺激臭は換気をしっかりしていないと自分自身が体調不良になってしまう可能性や、近隣の方へ迷惑をかけてしまう場合があります。特にジェルオフをする際に使用するアセトンは揮発性が強いので換気を必ず行ってくださいね。また、マニキュアは刺激臭が軽減されているものや、オーガニックマニキュアであれば刺激臭がしないものもあります。においが苦手な方はこのような商品を使用するのがいいでしょう。また、お子様とセルフネイルでマニキュアを使用する場合は水溶性で刺激臭のしない胡粉ネイルを使用するなどの工夫をするのがおすすめです。胡粉ネイルはオフする時にも消毒用エタノールで拭き取るだけなので除光液による爪や皮膚の乾燥を予防することも可能です。
周囲に配慮して正しく香りを楽しもう
いかがでしたか?今回の記事では、柔軟剤の香りが強いことで迷惑になってしまう可能性があるということについてお話をしてきました。柔軟剤に含まれる香料の化学物質によって体調不良を引き起こしてしまうことがあり、そのことを香害と呼びます。香害は柔軟剤の香りに限らず、香水や合成洗剤などの合成香料の化学物質によっても引き起こされますが、特に問題になっているのが柔軟剤ということを知っていただけたと思います。香害は集合住宅などでは近隣住民とのトラブルになりやすいです。もし集合住宅にお住まいで強い柔軟剤の香りにお困りの場合は、管理会社へ連絡して注意を呼びかけてもらうといった方法をとるのが望ましいでしょう。香害を発生させないたためにできる有効な対策は無添加・無香料の柔軟剤を使用して、洗浄料に不安があるときには重曹などを併用する方法です。また、香害に似たにおいにまつわる問題にスメルハラスメントというものがあります。香害が体調不良を引き起こすものであるのに対して、スメハラは体臭や口臭、香水などのにおいによって精神的に不快感を与えるものです。スメハラはプライベートかつデリケートな問題なので注意をする際には十分に配慮をする必要があります。身だしなみのマナーとして自分のにおいに気をつけることも大事です。周囲に配慮して香りを楽しみましょう。