野球の世界一を決める国際大会、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が、2023年3月8日に開幕しましたが、白熱の試合をテレビや配信、さらには現地で観戦している人も多いのではないでしょうか。筆者はお恥ずかしながら野球に疎いのですが、9日から4日間連続の日本戦はテレビで観戦し、日本代表である「侍ジャパン」の大活躍を見ることができました。やはり話題は侍ジャパンとして来日したメジャーリーガーである大谷翔平選手や、ダルビッシュ有選手、侍ジャパン初の日系選手であるラーズ・ヌートバー選手に集中します。また、侍ジャパンが戦う準々決勝までは、東京ドームで試合が行われるのもあり、日本全国はもちろん、世界各国から野球ファンが応援に来ています。侍ジャパンの快勝が続いていることもあり、野球ファンはもちろん、日本中でWBCフィーバーが起こっているのではないでしょうか。そんな中、筆者が試合をテレビで見ていて気になったのは「キャッチャーが蛍光色のネイルをしている?」という点です。最初はユニフォームや道具の一部かと思っていたのですが、よく見てみるとキャッチャーの指は確かにネイルでカラーリングされているのです。アスリートネイルというジャンルがあるように、実はスポーツと爪は切っても切れない関係がありますが、キャッチャーに蛍光色という派手なネイルがついているのには、一体どんな理由があるのでしょうか?
野球のキャッチャーってネイルしてる?なぜ?
WBCの試合をテレビで見ていたら、「あれ?キャッチャーの人が蛍光色のネイルをしてる?」とびっくり!よく見てみると、侍ジャパンのキャッチャーの選手が、蛍光イエローのネイルカラーをつけているのです。
筆者と同じように試合を見ていて、「野球選手がネイルをしている!なんで?」とSNSで書き込んでいる人も多数いました。野球に詳しくない人からすれば不思議に思うポイントだということがわかります。
確かに、スポーツ選手が良いパフォーマンスをするために爪を補強したり、ネイルケアをする「アスリートネイル」という文化がありますが、それはクリアカラーで仕上げることがほとんど。ですがWBCで見たキャッチャーはとても目立つ蛍光色をつけており、一体なぜ?と疑問が浮かびました。野球のキャッチャーがネイルをしているのは、果たしてどんな理由があるのでしょうか?
●キャッチャーのネイルはサインをわかりやすくするため
なぜ野球のキャッチャーが目立つネイルをしているのかというと、サインをわかりやすくするためにあえてつけているのです。
キャッチャーは、試合中にピッチャーにサインを送り、指示を出しています。ピッチャーとキャッチャーは「バッテリー」と称され、細かな意思の疎通が必要です。しかし、ピッチャーとキャッチャーの距離はおよそ18メートル強もあり、もちろん会話もできません。そこでキャッチャーが、相手バッターやピッチャーの調子なども含めて、様々なサインを出し、球種や内側、外側、高さなどの投げるコースの指示を出しているのです。
キャッチャーのサインは、対戦相手に読み取られないためにも複雑化されています。ピッチャーや野手にとって、複雑なサインがよく見えて伝わりやすい環境であればいいのですが、実際はプロ野球の試合が行われるスタジアムでもサインが見えにくくなることがあるようです。キャッチャーの指示がうまく伝わらなかったり、サインミスが起こるのは、チームにとって致命傷になりかねません。
そういったことを防ぐために、キャッチャーは目立つ蛍光色のネイルをつけて、サインを見やすくしているということです。これは日本のプロ野球だけでなく、メジャーリーグでもカラーの目立つネイルをしているキャッチャーが多いようです。
キャッチャーのネイルはマニキュアじゃない?ネイリストが解説
キャッチャーのサインが見えやすくなる蛍光色のネイルは、マニキュアやジェルネイルではなく、ネイルシールを活用しているそうです。そしてネイルシールも、スポーツ選手のために開発された専門のネイルシールがあります。
特に、上記のATHLETE NAIL アスリートネイルというメーカーから出ている「蛍光サインテープ」は有名で、WBCで活躍している侍ジャパンのピッチャーも、こちらの商品を使っているのでは?と予想されています。カラーは蛍光色のイエロー、ピンク、オレンジと3種類あって、どれも眩しいほどの色鮮やかさです。爪の大きさに合わせたサイズ展開も幅広く、爪を短く整えている選手向けに長さは短くなっているところがとても実用的です。
●目立つ色として、蛍光色が使われる理由
ネイリストとして働いていた筆者からすると、ネイルシールで取り外しがしやすいのは非常に便利で合理的ですし、なおかつ暖色系の蛍光色というところが、視認性の高さにおいても素晴らしいと思いました。
一般的に視認性の高い色は「暖色で彩度の高い色」とされています。特に赤や黄色、オレンジは、暗い色と組み合わせるとより見やすくなるのです。ピッチャーがサインを出すシーンは、手元が明るく照らされるわけではありませんし、むしろ暗い手元で行われていることが多いのではないでしょうか。そこで彩度の高い蛍光色を使うことで、視認性が高くなり、サインも見やすくなるというのは、色の使い方として理にかなっています。
●ネイルシールが使われている理由
マニキュアやジェルネイルでも、ネイルシールと同じように爪をカラーリングできますが、普段からネイルをしているという人でも、蛍光色をつけているという人はちょっぴりマイナーです。ましてや、メンズネイルのカラーリングがあまり普及していない日本で、男性が普段遣いとして蛍光色のネイルをつけるのはレアケースと思われます。
ネイルシールなら、試合前にさっと爪に貼り付けることができ、試合が終わったらすぐに剥がすことができます。ジェルやマニキュアでは頻繁にオフをしてしまうと爪にダメージが蓄積してしまいますが、ネイルシールなら剥がし方にさえ気をつければ大きなダメージを受けることはありません。爪を傷めることもなく、またネイルシールによる爪の保護も期待できるので、メリットが多いのではないでしょうか。
ピッチャーやスポーツ選手がネイルをしているってほんと?
スポーツとネイルは、切っても切れない関係があるのはご存知でしょうか。スポーツでは指先や足先に力を入れる、踏み出す、ふんばるといったシーンが数多くありますよね。この時、指先や足先に力を入れることができるのは、爪があるおかげなのです。
人間の手足の指の先端は、骨が届いていない箇所があります。ぐっと指の腹に力を入れる時、爪が骨の代わりになり、その力をキャッチしてバランスをとっています。これは運動中に限ったことではなく、歩く時も足先に力を入れますし、物を掴んだり、持ち上げたりする時にも指先に力を入れて、爪が力をキャッチしているのです。つまり、爪がないと、正常に歩いたり物を掴むことも難しいということになります。
上記のような理由から、爪はスポーツ選手にとって重要なパーツであり、爪の状態はパフォーマンスにも影響を及ぼします。特に野球選手のピッチャーは、ボールを指先から離す時に爪に対してとても大きな力がかかっており、摩擦と相まって爪が非常に傷つきやすいです。そのため、野球選手は爪に亀裂が入ったり、欠けたり、二枚爪になりやすいのです。そして、爪が少し割れてしまったり、マメができたりするだけでも、指先や手の感覚に違和感が出てきます。ちょっとした違和感や異変があると100%の力を発揮できなくなるのは、身体を大事にしているスポーツ選手なら誰もが実感しているところではないでしょうか。
しかし、ピッチャーをはじめ、スポーツ選手は日常生活なら使わない力を、指先や足先にかけなくてはなりません。そこで力をかけても爪を正常に保てるよう、ネイルの材料で保護したり、ネイルケアをしたりしている選手がいるのです。
●どんなネイルや補強をしているの?
例えば、野球のピッチャーは、手や指に大きな力を入れるので、その圧や摩擦によって爪に負荷がかかって割れてしまったり、指にマメや角質も溜まったりしやすくなります。自身でこまめに爪を切っていても、それが適切な長さや形でなければ、爪割れが改善されるどころか、引っかかったりしてさらに悪影響を及ぼす可能性もあるのです。さらに、自爪が元から薄く、割れやすいというもいますよね。
そこで、爪に強い力がかかっても割れないように、ジェルネイルやアクリルネイルを使って、爪に補強を施します。ですが、単に補強すればいいというわけではなく、爪のどこに負荷がかかりやすいのか、どこに亀裂が入りやすいのかを考慮した上で施術しなくてはなりません。さらに、爪は硬さだけでなく、しなやかに曲がる柔軟性も必要です。ハードジェルやアクリルを使って、爪全面を分厚くコーティングするだけでは、指先の繊細な力の入れ方を阻害する可能性もあるのです。
ここまででも、おしゃれのためにつけるネイルとは重視する要素が異なることがわかりますね。一見セルフネイルでもできそうな技術に見えますが、スポーツ選手だけでなく、選手をケアするネイリストも、爪の構造や仕組み、どのような補強が必要なのかを正確に判断する必要があるのです。
爪と指先を守るネイルケア
野球選手だけでなく、スポーツをしない人でも、爪をキレイに保つネイルケアは是非重視して頂きたいポイントです。爪が割れてしまうのは、男性でも女性でも起こることですし、一度爪が割れてしまうとすぐに元通りになることはありません。割れてしまった部分をカットするまで伸ばさなければならないのです。割れにくい爪にするには、以下のようなポイントをおさえてくださいね。
・爪切りを使わず、爪やすりで短く整える
爪切りは強い圧力で爪をバチンとカットするので、断面はギザギザの粗い仕上がりになります。そこから割れてしまったり、二枚爪になることも。爪やすりを使うことでなめらかな爪先に仕上がりますし、形も整えやすいです。
・割れにくい形はラウンドかスクエアオフ
爪先の形は自然なカーブの「ラウンド」か、先端を四角に整え角を丸くする「スクエアオフ」にすると、爪に負荷がかかっても割れにくくなります。爪の長さは指の腹側から見て1ミリ程度爪が出ているくらいが丁度良いでしょう。
・爪先は使わない
普段の生活で爪先を使わないように注意しましょう。シールを剥がしたりするときも、爪先でめくらないように気をつけて。特に通販で届いたダンボールのガムテープを剥がすときなどは要注意です。ジェルネイルやマニキュアが剥がれてしまうこともありますし、自爪の場合は割れてしまうこともあるので注意してくださいね!
・季節を問わず保湿ケアを
硬い角質やささくれは保湿が足りていないことも原因の1つ。爪に潤いを与えるための「ネイルオイル」と、指先から手元全体を保湿する「ハンドクリーム」を使って、乾燥する秋冬はもちろん、汗ばむ春夏も保湿ケアを続けましょう。ネイルオイルは以下のような商品がおすすめです。
ネイリストのおすすめポイント:こちらのネイルオイルは爪の専門家が監修しているネイルオイルです。人の肌に近いセラミドなどが配合されており、自爪にしっかり浸透します。
ネイリストのおすすめポイント:ローズの香りが癒やされる、ドライフラワー入りのネイルオイルです。100%天然成分で作られており、潤いが持続します。
ネイリストのおすすめポイント:こちらのネイルオイルはプチプラネイルブランドのネイルホリックから販売されている商品です。さらさらのテクスチャ―で馴染みやすさも◎
WBCで活躍中の侍ジャパンの選手も、爪のコンディションを整えるためにネイルケアをしているかもしれません。そう思うとなんだか身近に感じますよね。野球選手をはじめ、スポーツで活躍するアスリートたちのように1年中きれいな爪をキープしていきましょう。