話し方は人の印象を大きく左右します。「とても感じの良い人だな」「なんだか感じの悪い人だな」。少し話をしただけなのに、相手に対してこのような感情を抱いたことはありませんか?人が他人と接する時には、まず相手に話しかけるところからはじまります。そんな時、多少話し方が無愛想であっても、柔らかい表情だったり笑顔だったりすれば「この人は怒っているわけではない」とわかるのであまり問題にはなりません。しかし新型コロナウイルスの流行以後、マスクをする人が増え、お互いに話している時の表情が読み取りにくくなってしまいました。そのため、話し方の雰囲気だけで印象の良し悪しが決まってしまうこともしばしば…。また話し方といえば、買い物に行ってレジの店員さんの話し方に愛想がなく、ぶっきらぼうに感じたらどうでしょうか。たった一言二言交わすだけの、一瞬のコミュニケーションで不快な気持ちになるお客さんは多く、「あの店員は感じの悪い奴」と印象を持つ人が多いです。でも店員さん本人には全く悪意はなく、ただそういう話し方をするタイプのとても良い子かもしれませんよね。このように、あなたも話し方一つで意図せず誤解され、損をしているかもしれません。お互いをよく知っている者同士ならその人がどういう人間なのか知っているので、話し方で印象が変わったりしません。しかし社会に出れば、自分のことを理解している家族や友人と同じ話し方をしていては誤解されかねません。他人同士がお互いに気持ちの良いコミュニケーションを取るためには、それ相応の意識した「話し方」をするのが好ましく、それは結果的に自分のためになります。特に人と関わる接客業は、話し方で印象が悪いと思われてしまったら致命的です。そのため話し方には細心の注意をはらう必要があります。今回は初対面の人とマンツーマンで1~2時間を過ごしているネイリストが、相手に好印象を残すため話し方をご紹介します。さらにネイリストはマスクをしながらの接客業です。冒頭でもお話ししたようにマスクをしていると表情が読み取りにくい分、話し方がより大切になってきます。マスクをしたままでも良い印象を与えるための声の出し方も一緒にご紹介します。
話し方で自分の印象は変わる?
自分の話し方を意識したことがありますか?ゆっくり話すタイプや早口な人、サバサバと話す人や優しい話し方の人など、話し方は人によって様々です。一概にどれが良いとは言えませんが、話し方によって印象が変わるのは確かです。
「人の第一印象は見た目が9割」とは有名な話で、人と会う時は身なりに気を使う人がほとんどではないでしょうか。実はもう一つ、印象の9割を決めると言われているのが「話し方と声」です。たしかに話し方で印象が変わるというのは、なんとなくイメージできると思います。しかし、話し方と声が見た目と同等に印象の9割を占めるとはどういうことなのでしょうか。
これは朗読劇を想像するとわかりやすいかもしれません。同じセリフでも話し方や声のトーンで喜びや悲しみ、快活さやダルさなど、様々な状態を音声のみで表現することができていますよね。怒り狂った人が「早口になり声を荒らげる」とはよく言ったもので、人の感情やその日の体調は話し方や声にとても現れやすいのです。話し方に覇気がなく声のトーンが低ければ「あれ?今日は元気ないな」と思いますし、逆にハキハキとした話し方で声にハリがあれば「元気な人だな」となるわけです。つまり話し方は、意識して変えるだけで朗読劇のように誰でも簡単に自分のイメージを作っていけるツールとなるのです。
人に嫌われる話し方
話してみたらイメージと違い印象が悪くなった、そんな人に出会ったことはありませんか?これはお見合いなどでよく聞く話しですが、お見合いなので当然誰しも身なりはしっかりと整えてきますよね。そのためとりあえず第一印象の見た目はクリアでしょう。なんなら好印象かもしれません。しかし、いざ会話をはじめると、その話し方から印象がとたんに悪くなる場合があります。そして本人は、自分の話し方が相手を不快にさせていることに気付いていないことがほとんどです。ではどんな話し方が相手を不快にさせ、自分で自分の印象を悪くしているのでしょうか。
●人の話をすぐに否定する
人が話していることに対して否定的なことしか言わない人がいます。このタイプの人は、相手の話に対して「自分の意見を述べているつもり」の人が多く、本人は相手の話を否定しているという自覚がほとんどありません。会話のスパイスとして否定的な意見を入れていくのは話も弾みますが、全てにおいて否定的なことを言う人とは会話をしていても楽しくありません。
●人の話を聞かない・腰を折る
人が話していることを最後まで聞かずに話をすぐに遮ってしまう人がいます。人と人とがコミュニケーションを取る時、相手の話を最後まで聞くことは最低限のマナーだということがわかっていないのです。せっかく話をしていても会話を別の話題で遮られたり、「わかったわかった」といった具合に結論を先に言われたりすると、相手は話す気がなくなります。
●反応がない・何を考えているのかわからない
人が話していることに対して極端にリアクションの薄い人がいます。会話を成立させるにはある程度相手の反応をみながら話を進めていきます。しかし、リアクションがなかったり極端に薄かったりする場合、話をしている方は相手が何を考えているのかわからず、困ってしまいます。話をしていても楽しくなく、苦手意識が芽生えます。
このような話し方で、また会いたい人かそうでない人かの印象が決まってきます。
- 相手の話を否定する
- 否定的な言葉をたくさん使う
- 人の話を最後まで聞かない
- 話の腰を折る
- 自分の話にすり替える
- 会話に対して反応がない
- リアクションが極端に薄い
最低限の会話のマナーとして、これらのことは気をつけていきましょう。
人に好かれる聞き方と話し方
せっかく会話をするのであれば、好印象を与えるような話し方でお互いに気分良く過ごしたいものです。印象の悪い話し方をする人と違って、一緒にいて楽しい、また会いたい、と思ってもらえることは、出会いの幅を広げる意味でもビジネスシーンにおいても自分にとって非常に有利なことです。では、好印象を与える話し方をお伝えします。
●人の話に相槌を打つ
会話に対して相槌を打つことは、相手の話を聞いている合図になり、安心感を与えます。リアクションというと大きく身振り手振りをしたり、わかりやすく声のトーンやボリュームを変えるものを想像しますが、相槌もリアクションの1つです。小さな声でも「うん」や「はい」と相槌を打ったり、うなずくだけでも、相手に悪い印象を持たれることはないでしょう。また相槌よって会話にリズムをつけることができるので、話している方も気持ち良く話しを続けることができるのです。
●気になるポイントはリピートして確認する
話を聞いていると、その話のポイントになるところが出てきますよね。確認の意味も込めて、重要なポイントは同じ内容を繰り返したり、聞き返したりしてみましょう。相手の喋ったことを繰り返すと、話を聞き流していないという証拠にもなるので、悪い印象は残りません。むしろ話をきちんと聞いているという安心感を与えます。
●肯定的な言葉を使う
相手の意見や話の内容が間違っていたとしても、すぐに否定的な言葉を返すのはやめておきましょう。特に「食い気味」な否定の言葉は、相手にとってかなり悪い印象を与えてしまいます。まずは肯定的な言葉や相槌を選ぶようにすると、その後の交渉も上手くいきますよ。誰しも、自分の話を否定的に捉える人よりも、肯定的に捉えてくれる人の方が話していて気分が良いものです。肯定的な言葉をチョイスすることで、悪い印象を与えずに信頼関係を築くことができます。
●感謝や褒める言葉を多めに使う
「ありがとう」と言われるのは、どんな人でも嬉しいですよね。また、「すごいね!」「いいね!」といった褒める言葉は、聞いていて気持ちが良いものです。相手に良い印象を与えたいなら、前述の通り会話で否定的な言葉を使わず、代わりに感謝や褒める言葉を使うようにしましょう。自分にとって「でも」「しかし」という部分があっても、まずは「ありがとう!」「いいね!」と肯定から入れば、相手にとって悪い印象になりにくいはずですよ。褒める言葉が多すぎると会話が薄くなったり、わざとらしく聞こえたりするので、会話の最初にさらっとつけるのがおすすめです。
人に好かれる聞き方や話し方に共通していることは、相手の話を否定せずしっかりと話しを聞くスタイルを取ることです。「聞き上手は話し上手」という言葉があるように、相手の話をしっかり聞いて、すぐに否定せず、肯定しながら相槌を打つようにしましょう。
ネイリストが究極の接客業と言われる理由
接客業は様々ありますが、その中でもネイリストという職業は特殊だと言われています。それもそのはず、ネイリストはお客様と向き合いながらマンツーマンで長時間過ごす必要がある職業だからです。
施術中のお客様は両手が塞がった状態なので、スマホや雑誌などを見ることができません。サロンに設備が整っていれば映画や動画などを見ることもできますが、ほとんどのネイルサロンはお客様と会話を楽しみながら施術を行います。つまり、ネイルサロンで施術を受けるお客様は以下のような状態になります。
- ネイリストと終始顔を付き合わせる
- 体勢や場所は変わらない
- 1~2時間連続して同じ状態
- 時間つぶしに手を動かすことはできない
上記のような状況は、他の接客業ではまずありませんよね。そのため、ネイリストとお客様は会話を重視するか、動画やテレビなどを見て静かに過ごすかのどちらかに。ネイルサロンに来るお客様は基本的におしゃべりをする方が多いので、友人とカフェでお茶をするのと同じ感覚で、密に会話を重ねていくことになります。ネイリストが究極の接客業と言われる所以は、まさにこの特殊な状況にあるのです。
ネイリストとお客様の関係は特殊で、友人でもなければ共通の知人がいる関係でもありません。だからこそ、友達にも家族にも言えないような悩みや話しをするお客様がとても多いのです。例えば、月に一度の約2時間、ネイルを綺麗にしながらカウンセリングを受けているような感覚で、普段人に言えないようなことや何気ない会話をネイルと同時に楽しみ、リフレッシュして帰っていくのです。このようにネイリストは爪を綺麗にしながら、他にはないほどの密接にお客様と関わっています。人とおしゃべりをするのが好きだったり、接客業が上手くなりたいという人や、短時間ではなく長時間お話しをしたいという方にはぴったりの職業です。
ネイリストの初対面の人と話す時のコツ
前述の通り、ネイリストはネイルの施術だけでなく会話力もかなり重要になります。お客様には色々なタイプの方がいるので、人によってコミュニケーションの方法を変えていく必要があるのです。では普段の会話でも使える、タイプ別の会話のポイントをお伝えします。
●自分からよく話す人
自分からよく話す人には、気分良く、たくさん話してもらうようにします。ネイリストがお客さんの話を遮って自分の話をする必要はありません。たくさんの相槌をうち、共感しながら全ての話を「聞く」スタイルを取りましょう。相手の喋った重要なポイントを繰り返したり、相槌のトーンを変えてみたりすると、会話に抑揚が生まれてお客様も喋りやすくなります。
●自分からあまり話をしない人
自分からあまり話をしない人には、まずはこちらからたくさん質問をしてみましょう。答えてくれたら、その答えと自分の経験談を交えて、自分から会話を進めます。そしてまたまた質問をする…、を繰り返していくうちに相手から話したい内容が出てきます。相手から話し出すきっかけを作れたら、自分の話はやめて聞き手にまわり、相槌とリアクションを続けるようにしましょう。自分からあまり話をしない人でも、会話のきっかけさえ作ってあげられれば、おしゃべりを楽しんでくれるかもしれません。
ちなみに、お客様の中には「おしゃべりが苦手」「会話は控えめに過ごしたい」という方も少なくありません。ネイリストもそれを察すれば、会話がなくても気まずくならないよう静かに接客します。ですが、ふとした会話の中から、カラーやデザインの好みなどを引き出すことができるのも事実です。静かに過ごしたいお客様が不快にならないように、要点を抑えてネイルに必要な情報を聞き出すのが、ネイリストにとって会話力や接客力における腕の見せ所となるのです。
美声になるトレーニング
マスクをしながら会話するのは、表情も読み取りにくく声もこもりやすくなります。そのため声のトーンで印象を良くするのがおすすめです。よく通る綺麗な声を出すための簡単なトレーニングをご紹介します。
●リップロール
唇をリラックスさせ軽く閉じた状態で、息を吐き唇だけをブルブル…ブルブル…、と息が続くまで連続して行いましょう。大角膜と声帯を閉じる筋力がつき、よく通る高く美しい声が出るようになります。簡単なので毎日気が向いた時に行いましょう!
話し方を意識して、明るくハリのある声で好印象を目指しましょう!