ファッションの流行は巡り巡って再び流行ると言われており、近年は少し懐かしさを感じる90年代ファッションが10代~20代の間で流行しています。約20年もの前のファッションが、当時まだ生まれてもいない令和の若者の間で再び流行っているのは、当時10代~20代だった人からすると不思議な現象のようです。90年代を感じるストリートファッションが人気を集めており、Tシャツにジーンズ、ダッドスニーカーなど、シンプルでカジュアルなコーデが人気です。かわいいけれどどこか外し感もある、90年代ファッションやネイルを取り入れておしゃれなコーデを楽しみましょう!また90年代は、日本にネイル専門サロンが一般的に広く普及した時代でもあります。それまで一般の人は、ネイルといえば爪にマニキュアを塗るだけで満足していました。ところが、ネイルサロンの普及とともに多数のネイル専門誌が発行され、90年代にはネイルブームが起きるのです。ネイルはただマニキュアを爪に塗るだけではなく「ケアやアートをするもの」という概念が定着しました。今回の記事では、90年代ファッションのリバイバルによって人気を集めているアイテム、そして90年代に流行ったアクリルを使ったスカルプチュアネイルについてもご紹介します!
90年代ファッションが流行中、どんなものが人気?
2017年頃から90年代ファッションが流行しているというのは、流行りものにアンテナを張っている人ならご存知なのではないでしょうか。20年以上前に流行ったダッドスニーカー、ビッグシルエットのTシャツ、パーカー、カーゴパンツといったファッションを現在10代~20代の人たちが身につけています。その他にもお父さんやお母さんのお下がりを着て、リアルな90年代アイテムを楽しんだり、アクセサリーや帽子はシンプルに、バッグはストリートっぽいリュックやミニサイズの斜めがけで今っぽさをプラスするなど、アレンジを加えてオリジナリティー溢れる着こなしも見かけます。以下では特に90年代っぽさを感じるアイテムをご紹介します♪
●スニーカー
カジュアルシーンでしか活用できないと思われていたスニーカーは、今やどんなコーデにも合わせられる優秀アイテムになっています。特に「ダッドスニーカー」と呼ばれる重く厚いソール、派手なカラーのパイピングやラインが入ったものが2017年頃から人気です。ナイキのエアマックスシリーズやエアジョーダンシリーズも安定した支持があります。1990年代に10~20代だった人からするとナイキのスニーカーリバイバルは非常に懐かしく感じるようです。またリーボックのポンプシリーズなど、ずっしりとしたインパクトのある見た目のスニーカーを履いている人が多いです。
●ストリートコーデ、グランジコーデ
ストリートコーデの主体となるビッグシルエットは男女問わず取り入れることがポイントです。ダボッとした大きめのTシャツやスウェット、シャツ、アウターをルーズに合わせることで簡単に90年代風ストリートコーデになります。一方でグランジコーデはロックTシャツやダメージジーンズなどがメインで、アメカジの中でも黒や赤などのカラーが主体になっています。ストリートコーデやグランジコーデは90年代に大流行したミュージシャンの服装を元にしています。ストリートコーデはヒップホップアーティストが、グランジコーデはグランジという音楽ジャンルを世に広めたアーティストたちが着ていました。特にグランジコーデは、ニルヴァーナというグランジバンドのボーカル&ギターのカート・コバーンが、ダメージ感のあるアイテムをナチュラルに着こなしており、そこから流行の火がつきました。ちなみにコンバースなど昔からあるアイテムが、2020年再びベーシックになっているのも、カート・コバーンが愛用していたからかもしれません。
●ジャケット
90年代はカジュアルコーデが主となっていますが、きれいめコーデやガーリーコーデが好きな人はジャケットの合わせが人気です。ボトムスとセットアップになっていないテーラードジャケットやセットアップとして着こなすことで少しかっちりとした雰囲気が出ます。少しレトロな雰囲気のあるダブルのジャケットや、グレンチェック、千鳥格子などの柄物を使うことでより90年代感が出ますよ。
上記のような、90年代に10代~20代だった人からするとなんだか懐かしく感じるアイテムが2020年現在も流行っています。ただし昔のアイテムをそのまま取り入れるのではなく、少し今っぽいテイストを入れることでよりこなれ感がアップします!服だけでなく、バッグやアクセサリー、ヘアスタイルにもこだわってみてください♪
今っぽいテイストのアイテムをプラスしよう
上記のような、90年代に10代~20代だった人からするとなんだか懐かしく感じるアイテムが2020年現在も流行っています。ただし昔のアイテムをそのまま取り入れるのではなく、少し今っぽいテイストを入れることでよりこなれ感がアップします!サコッシュやウエストポーチを斜めがけしたり、ヘアスタイルはアップでおくれ毛を作ってゆるくかわいい雰囲気にするのがおすすめです!服だけでなく、バッグやアクセサリー、ヘアスタイルにもこだわってみてください♪
90年代と日本のネイルの関係
日本におけるネイルのはじまり、つまり「爪に色をつける行為」は飛鳥・奈良時代まで遡ります。
・飛鳥・奈良時代
この時代は、まだ現代のような「おしゃれ目的」で爪に色をつけているわけではなく、邪気払いなどの呪術的な意味合いで行っていたとされています。
・平安時代
きらびやかな装いや化粧は、上流階級以上の者にだけ許されていたオシャレだったので、平民達はそんな世界を知る由もありませんでした。しかしこの時代、遊女達が貴族のような装いや化粧をしはじめることで、着飾ることや化粧をすることが庶民にも知れ渡ることとなります。植物で爪を染めることを爪紅(ツマクレナイ)と呼び、爪に色をつけることもオシャレの一環として認知されはじめたのです。
・江戸時代
江戸時代になると、平民達も気軽にオシャレを楽しむようになります。中国から伝来されてきた紅花を使った染色技術も盛んになり、発色の良さや色の定着のよさから、化粧にも使われるようになります。爪紅(ツマベニ)と呼ばれ、染料である紅花を爪につけることで色が爪に残り、簡単には落ちなくなります。そのため1度色をつければしばらく爪の色を楽しむことができたようです。
・明治時代
明治には入ると西洋の文化をどんどん取り入れた生活になります。ちなみにこの頃、すでに西洋ではマニキュアの存在が一般的でした。そしてついに日本にもフランスから「マニキュア術」として、マニキュアの概念が伝わってくるのです。日本人はそれを「磨爪術(まそうじゅつ)」と呼んで楽しむようになります。
・70年代
70年代後半には、アメリカから「美容業界」にネイルケアやマニキュアを塗ることをメインとした「ネイルの技術」が入ってきます。
・80年代
80年代には本格的にネイルサロンが増え、日本でもネイルを職業とするマニキュアリストの存在が確立されます。そして1985、「日本ネイリスト協会」が設立されることとなります。
・90年代
90年代になると、ネイルサロンでの施術はネイルケアやマニキュアだけでなく、爪の形成を行うスカルプチュアが主流となってきます。スカルプチュアによるロングネイルが流行りはじめ、本格的なネイルブーム到来の時代となります。
・00年代
2000年に入るとネイルの主流はジェルネイルに以降し、現在に至ります。実はジェルネイルそのものは80年代初期に外国ではすでに存在していました。2000年には日本にも紹介され、この時はまだハードジェルがメインでした。現在主流のソフトジェルが入ってきたのは、その少し後2002年のことです。
90年代のネイルはカラフルで派手?
ネイルの歴史の流れを見てもわかるように、スカルプチュアもしくはスカルプと呼ばれる、人工的に爪を長くする施術が流行ったのは90年代です。その頃はジェルネイルスカルプではなく、アクリルスカルプが主流でした。90年代の日本は厚底やミニスカートに金髪などの派手髪をあわせるギャルファッションが、息長く大流行していた時期です。そんなギャルファッションに合わせる爪はロング~超ロングのスカルプで、柄や色もラメを多用したり、大きめのフラワーが描かれているなど派手なものが主体でした。コーデから爪まで、とにかく派手にすることがかわいいとされていましたが、時代は変わり、スカルプで超ロングにする人は年々減り続けます。しかし2020年現在、超ロングとまではいかずとも、ジェルやジェルチップで長さ出しをするデザインが密かに流行しています。ネイルもリバイバルによって90年代のようなデザインが再び流行するかもしれません。
90年代を代表するギャルファッションとは?
上で触れたように、90年代は渋谷の若者を中心とした独自ファッション「ギャル系ファッション」が大流行した時代です。渋谷がギャルの聖地と呼ばれ、109で働くショップ店員はカリスマ店員として若者たちの憧れの存在でした。日焼けした肌に派手なメイク、奇抜なファッションやヘアスタイルが当時のスタンダードとなります。そして高校は「コギャル」、もう少し年上のギャルは「お姉系」、さらに派手になった「ガングロ」「ヤマンバ」と呼ばれギャルも現れ、日本のギャルファッションは世界でも注目されます。
●90年代ギャルの定義
<ヘアメイク編>
・日焼けした肌がマスト
日焼けサロンで肌を小麦色にする。茶色のファンデーションを塗って地黒感を出す。
・髪の色は絶対明るく
茶髪~金髪、もしくはメッシュを入れる。ストレートヘアや巻髪、ヘアエクステを付ける。
・アイメイク命
つけまつ毛&黒のリキッドアイライナーで目をしっかり囲み、目頭は切れ込みを入れたように開切ラインを入れて仕上げる。
・眉毛は細く
キュッと強めに描かれた細眉にしたいので自眉は抜く。
・カラコンを入れる
明るめの色~青、グレーが人気。
<ファッション編>
・露出高め
基本はミニスカートやショートパンツ。せっかく日焼けさせた肌は露出したいので、ショート丈は常識!制服のスカート丈を短くして白のルーズソックスを履く、コギャルスタイルの確立。
・足元には厚底を履く
冬は厚底のロングブーツ、夏は厚底サンダルを合わせる。
・派手な色や柄
ショッキングピンクやイエロ-、アニマル柄、大きな花柄などを取り入れたファッション。
<ネイル編>
・ネイルの長さはロング~スーパーロング
・透明感のあるビビットな色で長さ出しする。
・パーツやストーンを盛るってキラキラさせる。
自爪を伸ばしてマニキュアを塗っていた人も大勢いましたが、本格的なギャル達はネイルサロンに行ってスカルプで爪の長さを出し、気合の入ったネイルアートをしていました。写真を取る時に顔の前でピースサインをして、かわいいロングネイルも一緒にアピールするのがお約束のポーズです♪当時はスカルプチュアネイルを10本やるには、3~5時間かかるのは当たり前でした。また万が一スカルプを完全オフする場合には、ファイル(やすり)を使い手作業で全て削り取る方法が一般的だったので、やる方もやられる方も終わった頃にはぐったり・・・、なんてことは普通のことだったようです。
アクリルネイルとジェルネイルの違いは?
90年代のギャルブームにより当時は派手&ロングなネイルが流行っていました。現代主流のジェルネイルでも、もちろん派手なデザインや個性的なアートはたくさんあります。しかし当時からあるアクリルパウダーを使ったスカルプチュアネイルは、気軽で軽いつけ心地のジェルネイルとはまた違った、ネイルの職人魂がこもった存在感のある雰囲気が魅力です。ちなみにスカルプチュアネイルとは、「爪の長さを出す技術」のことを指します。
●アクリルパウダーを使ったスカルプチュアネイル
アクリルパウダーと専用のリキッドを混ぜると、トロッとした柔らかい液体ができます。それを「ミクスチャー」と言い、ミクスチャーは時間とともにどんどん固まっていきます。この固まった状態が人口爪になったり、立体的で華やかなフラワーアートになったりするのです。アクリルスカルプは強度が強いので、ロングネイルでも折れにくく安心して楽しむことができます。ただし施術に時間がかかり、オフするのも大変です。またロングスカルプやスーパーロングスカルプのような長いネイルの形成は叶いますが、長ければ長い程、美しく仕上げるのが難しく非常に高い技術が必要です。当時のネイルサロンは、今ほどメニューも豊富ではなく極端に言えば、マニキュアメニューかスカルプメニューのどちらかでした。そして90年代はロングネイルが流行っていたので、ネイルサロンに行く目的といえばほとんどの人がアクリルスカルプチュアで爪をロングにすることでした。そのため当時のネイリストのほとんどは日本ネイリスト協会の働きもあり、スカルプの長さ出しが出来るのは当然のことでした。90年代に活躍していたネイリスト達は、どんな長さの長さ出しにも対応できるだけの高い技術レベルを持ち合わせていたのです。
●ミクスチャーって何?
スカルプをする時に最も大切なのが「ミクスチャー」の状態です。ミクスチャーが上手に作れないと、スカルプをキレイに完成させることができません。
・ミクスチャーに作り方
ミクスチャーは、専用の筆に専用の液体(アクリルリキッド)を含ませた状態でアクリルパウダーに触ると、瞬時にパウダーが液体化して筆の先に柔らかい液溜まりができます。これがミクスチャーと呼ばれるもので、爪に乗せて長さや形の形成ができます。
ミクスチャーを作る工程はとても簡単ですが、実はリキッドとパウダーのバランスが非常に難しいのです。
・リキッドが多すぎるとどうなる?
リキッドが多すぎると、ミクスチャーが緩くなりすぎて爪の形成をする際に、ダラダラと垂れてきてしまい、とても扱いにくくなります。
・リキッドが少なすぎると?
リキッドが少な過ぎると、つるんと柔らかい質感にならず爪の形成を行う際にキレイに伸ばしていくことができません。すぐにボソボソとしてしまい、そうなると爪の形成は出来ません。
・バランスの良いミクスチャーとは?
理想のミクスチャーは、爪に乗せた時にジワっと滑らかに爪に馴染み、ツヤがあってつるんとした質感が良いとされます。ぶるんとしてツヤのあるミクスチャーは作業しやすく、ロングネイルをキレイに仕上げることができます。アクリルスカルプの基本は、いつでも理想のミクスチャーが作れるようになることです。そのためネイリストは、バランスの良いミクスチャーを作る練習を何度も何度も繰り返し行います。
現代はジェルネイルが主流なので長さ出しもジェルで行うサロンが多く、アクリルスカルプを取り扱っていないお店も珍しくありません。そのためプロのネイリストであっても「アクリルを使った長さ出しはやったことがない」というネイリストも多いです。
●ジェルスカルプの場合
ジェルネイルはアクリルようにミクスチャーを作ったりする必要がありません。ジェルは素材が常に安定しているため、そのまま使うことができます。そのためジェルスカルプに必要なのはジェルの扱いに慣れることです。長さ出しするためのジェルは、一般的に使われているソフトジェルではなく、ハードジェルやセミハードジェルといったソフトジェルに比べて強度の高いものを使用します。ハードジェルはテクスチャーも固めなので爪の形成がしやすく、自分が納得したタイミングで硬化することができるので失敗も少ないです。
●アクリルスカルプとジェルネイルの違い
アクリルスカルプチュアの難しさは、自分のタイミングで爪の形成が出来ないところです。とにかく手早く作業していかないとどんどん固まっていくので、施術中は時間との勝負です。その点ジェルネイルは硬化させない限り、触り続けることができます。
そもそも素材が違うのでそれぞれに適したやり方があるのは当然ですが、どちらも「フォーム」という爪の土台となるものを装着し、それに沿って長さを出していくやり方は同じです。
まとめ
90年代に流行していたファンションは、今、巡り巡って再流行しています。新しいけど何処か懐かしさのある90年代ファッションのリバイバルを楽しんでみてはいかがでしょうか。