美肌維持のためにパックを取り入れている人も多いと思います。フェスパックだけでなく、ハンドパックやフット用パックなど、パックには様々な種類があります。しかし、直接肌に密着させたまま時間を置くパックは、肌トラブルも大変多いです。肌にダイレクトに働きかけるパックこそ、素材や成分にこだわったものを選ぶ必要があります。そこでオススメなのが、オーガニックのパックを手作りすることです。化学薬品を一切使わず、有機素材のみで作られた完全オーガニック製のパックは、既製品ではまずありません。地球にも優しく食べても安心、かつしっかりとスキンケア効果のある自然素材、「酒粕」を使って自分でパックを手作りしませんか？顔や手、足など全身に使えるオーガニックのパックで、くすみのない美しい体を手に入れましょう。そして酒粕のような発酵食品は、その健康や美容効果から年々人気が高まっています。世界最古の発酵食品はワインだそうですが、日本にも古くから日本酒があり、その健康効果は「酒は百薬の長」といわれるほどです。酒粕は含まれる成分や、効果・効能から日本生まれのスーパーフードといわれています。今回は酒粕がスーパーフードと呼ばれる理由と、酒粕パックについてご紹介します。
酒粕の健康効果が気になる！
甘酒や粕漬け、粕汁など、酒粕は日本人に古くから親しまれてきた食材です。酒粕とは、日本酒のもろみを搾った後に残った搾りかすのことです。しかし酒粕はかすどころか、お米や麹、酵母由来の有効成分が凝縮した栄養の塊です。近年、日本酒の良さが再認識されるのに伴い、酒粕の高い栄養価と健康効果に注目が集まっています。酒粕は、五大栄養素が揃って含まれる優れた食品なのです。
●酒粕の栄養素
・たんぱく質 14.9g
・ビタミンB2 0.26mg
・ビタミンB6 0.94mg
・ナイアシン 2.0mg
・葉酸 170μg
・食物繊維 5.2g
特に注目したいのは100g当りに含まれる、たんぱく質やビタミンB群の豊富さです。この量は、たんぱく質は白米の2.5倍、ビタミンB2は26倍、ビタミンB6は47倍、葉酸は56倍に相当します。これは、発酵させることでお米の栄養成分が飛躍的に増えるためで、さらに発酵により栄養の吸収率もぐんとアップしているので、実質的な効果は数字以上になるのです。
●健康効果
酒粕を料理に使うと旨味が増したりコクが出たりして美味しくなりますが、これも発酵によって旨味成分のアミノ酸が格段に増えるからです。酒粕は上記の栄養素に加え、特有の成分が豊富に含まれてため次のような効果も期待できます。
・アレルギーの緩和、改善
花粉症などのアレルギーは、カテプシンBという酵素が作り出す免疫グロブリンが原因といわれています。酒粕に含まれるペプチドには、このカプテシンBの働きを阻害する働きがあり、摂り続けることでアレルギー体質の改善に効果的です。
・冷えの改善
冬は体が温まる粕汁や粕鍋、甘酒の人気が高まりますよね。酒粕には8％ほどのアルコールが含まれていますが、酒粕で体が温まるのはそのせいだけでなく酒粕のペプチドの働きがあるからです。酒粕のペプチドには、血管内の一酸化窒素を増やす作用があり、血管を広げ血流を活発にしてくれます。しかも酒粕ペプチドの血行促進効果は、アルコールのような一時的なものではなく持続性があることが特徴です。現代は、夏でも冷房による体の冷えが深刻化されています。酒粕を食べ続けることで万年冷え性体質の改善が期待できます。
酒粕の美容効果がすごい
●ダイエット効果
酒粕は、100gで227kcalとカロリーは高めなのに、ダイエットに良いといわれるのには、次のような働きで健康的に痩せることができるからです。
●便秘の改善
酒粕には、白米の10倍もの食物繊維に加え、レジスタントプロテインが豊富に含まれています。レジスタントプロテインとは、胃腸で消化されにくいたんぱく質のことです。これは食物繊維と同様の働きで、腸の蠕動運動を活発にしてお通じを改善したり、脂肪やコレステロールを吸着して排出し、脂肪の蓄積を抑える効果があります。
●炭水化物の分解を抑制
酒粕には、炭水化物の分解酵素アミラーゼの働きを阻害する物質があり、糖分が脂肪になるのを防ぐ効果があります。
●糖質や脂質の代謝促進
酒粕に豊富なビタミンB群は、糖質や脂質の代謝を活発にし、体に脂肪がつきにくくなります。
●新陳代謝を活性化
酒粕には100種類以上の酵素が含まれており、新陳代謝が活発になるので太りにくくなります。さらに酒粕は、食べるだけでなく肌に塗ることで、酒粕ならではの美肌効果を発揮します。
●美白効果
酒粕と聞いて真っ先にイメージする美肌効果といえば、その優れた美白作用ではないでしょうか。それは酒粕には、次のような有名な美白成分が豊富に含まれているからです。
・アルブチン
・コウジ酸
・遊離リノール酸
これらは厚労省がその効果を認めた美白成分で、チロシナーゼの働きを阻害してメラニン合成を抑制し、シミを防ぐ働きがあります。また年齢と共に増えてくるのが黄ぐすみですが、その原因とされているのが糖化です。コウジ酸には、メラニンの抑制だけでなく抗糖化作用があり、通常の美白成分では改善が難しい黄ぐすみにも効果的です。
・フェルラ酸
フェルラ酸は高い抗酸化力でメラノサイトを刺激する活性酸素を除去し、シミを予防します。
・デフェリフェリクリシン
月桂冠総合研究所によって発見された美白成分です。米麹に含まれる成分で、ビタミンCよりも強い美白作用が期待できます。
●保湿効果
乾燥と加齢でごわついた肌にも、酒粕は優れた効果を発揮します。歳とともに肌の潤いがなくなってくるのは、角質層にある天然保湿因子（NMF）や細胞間脂質（セラミド）が減少してくるからです。酒粕には、天然保湿因子の主成分アミノ酸や、ヒト型天然セラミド、植物性セラミドが豊富に含まれ、内側から肌本来の潤いを高めてくれる効果があります。
●シワ・たるみ予防効果
コウジ酸の抗糖化作用やフェルラ酸の抗酸化作用は、コラーゲンの劣化を防いでシワやたるみを予防します。また酒粕には、アルファ・グルコシルグリセロール（αGG）という日本酒の旨味成分が含まれています。αGGにはヒアルロン酸とコラーゲンの合成を促進する働きがあり、潤いを高める上に肌の弾力アップにも効果が期待できます。さらに、酒粕の血行促進作用で肌に栄養が行き渡り、肌本来の力が高まります。
このような優れた美肌効果から、市販の酒粕化粧品は今大人気ですが、ストレートに効果を実感したいなら、自分で作る「酒粕パック」もおすすめです。
口に入っても安心の酒粕パック
酒粕パック後の肌は透明感が出てしっとりモチモチ！続けるうちにワントーン明るい肌が実感できます。
●用意するもの
酒粕 100g
精製水 50～150ml
酒粕には板状の「板粕」、板粕を粗めに砕いた「バラ粕」、水や焼酎を加えた「練り粕」などの種類があり、酒屋さんやスーパー、通販で入手できます。こだわりたい方は、吟醸酒からできる吟醸粕もおすすめです。
●作り方
①酒粕に含まれるアルコールは肌を乾燥させるもとにもなるので、最初に電子レンジで15秒ほど加熱し、アルコールを飛ばします。
②冷ました酒粕をちぎって精製水と混ぜますが、すり鉢ですりながらやると滑らかな仕上がりになるのでオススメです。ゆる過ぎる場合は、小麦粉で調整しましょう。乾燥がひどいと感じる場合は、ハチミツを少し混ぜると良いですよ！
●塗り方
・顔パック
ペースト状になった酒粕を洗顔後の顔に塗り、シートマスクやラップで覆って10～15分後に洗い流します。
・ハンドパック
手を洗い肌を潤したら、酒粕パックをたっぷりと手に塗り込み、その上から使い捨て手袋、またはラップを巻きます。さらに上から、保温のためタオルを巻いておきます。ラップを使う場合はパックを腕まで塗り込み、ラップを腕までぐるぐる巻いてしまいましょう。10～15分で洗い流します。
・フットパック
足を清潔にし、ハンドパックと同じように足の指先～スネまで酒粕パックを塗り込み、ラップで覆います。さらにタオルで保温し、10～20分程で洗い流します。足のくすみがひどい場合や、角質が溜まっている場合などは、パック成分の効果が半減してしまいます。角質ケアやスクラブの後に酒粕パックをすると、より効果が実感できます。
この天然素材の酒粕パックは、洗い流した後の肌の明るさと潤いに思わず頬が緩んでしまうかもしれません。酒粕パックは作り置きができますが、冷蔵保存で1週間程度を目安に使い切りましょう。
パック前にネイルケアをしよう
パックをする前にしっかりネイルケアをしておくと指先までしっとりとなります。おすすめのネイルケアはハンドなら甘皮ケア、フットなら角質ケアです。ハンドの甘皮ケアにはメタルプッシャーとキューティクルニッパーがあればOKです。指先をぬるま湯に浸して皮膚をふやかしてから、メタルプッシャーで甘皮を押し上げましょう。フットの角質ケアもお風呂やフットバスで足の裏を湿らせて角質をふやかしてからフットファイルでこすり落とせば角質ケアができますよ。
まとめ
酒粕パックをすると、想像以上に酒粕の威力を感じることができます。しかし効果を定着させるには続けること、そして食べて内側からも効果を発揮させることが大切です。酒粕は料理に使って毎日摂るといいのですが、面倒という方は、酒粕クッキーがオススメです。作り方は、好きな大きさに切った板粕をそのまま、またはお砂糖を少しまぶし、フライパンかオーブントースターで軽く炙るだけです。なかなか乙な味で、病み付きになる人もいるようですが、カロリーがあるので食べ過ぎには注意しましょう。肌にも体にも良い、日本のスーパーフード、酒粕生活を始めてみてはいかがでしょうか。
